04




「F組って遠いんだよ!」

SHRが終わって、即座に教室を飛び出す。
目指すはF組。早くしないと授業が始まってしまう。
先生に注意されつつ廊下を走って、目当ての教室のドアを乱暴に開ける。

「やーーなーーーぎーーーーー!!!」
「予想より遅かったな。SHRの前に来ると思っていたが」

そしてカリカリとノートにペンを走らせてる。またデータかよ。

「天誅!」

椅子に座っていた柳の脳天に手刀を一発叩き込む。

「痛いだろう」
「うっさい。昨日分かっててやっただろテメー」

そう言って睨むと、小さく笑ってバレたか、なんて呟いてやがる。
やっぱりわかっててやってたよコイツ。

「しかも丸井に聞かれて本当の事を言うわけでもなく適当に流しただろ」
「そういえば聞かれたな」

あっさりとなんでもないように肯定しやがりました。

「否定しろよ。殴り倒すぞ?」
「怖いな」

小さく笑って、柳が廊下を指差す。
何だ、と思ってその指の先を視線で追えば。

「迎えに来たようだぞ」
「過保護…」

ドアを開け、そこに寄りかかるように立ってこちらを見ていたのは銀色。
心なしかその視線が鋭い気がする。

「行くぜよ、綾ちゃん」
「何でいきなり名前で呼んでんの」

今日の仁王はマジでワケがわかりません。
不機嫌だと思ったらこうして迎えにきたりするしいきなり名前呼びするし。

「その傷」
「あー、これ見て吃驚した顔してたのか。昨日お呼び出しされてね。パーンっていった時に切れたみたい 」

廊下を歩いていた仁王の足が止まる。
振り向いた私の目に映ったのは、酷く険しい顔をした仁王。

「おーい、仁王さーん?」
「…誰じゃ?」

絞り出された声はいつもより低くて、怒気を孕んでいて。
今の仁王に手を伸ばしたら、静電気のように指先に痛みが走りそうなほど。
静かな、怒り。

「…な、んで、怒ってんの」

声が、詰まった。こんな仁王は見たことが無い。

「誰じゃ」
「、知らない」

でも、同じ学年だった。それだけしか、言えなかった。
もしかしたら、柳は分かるかもしれない。現場を目撃しているから。
それなのに、何故か言葉になることはなくて。
歩き出す仁王に追い越され、その後ろを歩く。
廊下でお喋りをしている他の生徒達が、仁王を見て口をつぐむ。
仁王を中心とした数メートルの円の中から、まるで音が消え去ったかのようだ。
何で、彼はこんなにも怒っているのだろう。





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