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「北河さん、久し振りだね」
「退院おめでと、幸村」

関東大会決勝の日に手術を受けた幸村は、その後のリハビリを必死にこなしてきたらしい。
普通よりも早い退院に祝う言葉をかけるけど、その後ろに専属の看護師さんが居るのには驚く。
どんだけモテるんですか、この方。

「北河さんも、おめでとう」
「は?何?」

幸村の言わんとしていることがさっぱり分からずにいるとあれ、違うの?と聞き返される。
いやいや、聞きたいのはこっちの方です。

「仁王と付き合ってるんじゃないの?」
「え、誰がそんなこと言ってんですか」

そんなわけ無いじゃないか、と言えばあれ?と首を傾げてらっしゃる。
そこで何で素直に受け止めてくれないんでしょうか。

「だって、君たちすごくいい雰囲気だし」
「雰囲気で判断しないでよ」

周りから見ていい雰囲気だったとしても、私と仁王は付き合ってない。断じて。
仁王だってそうは思ってないはずだ。

「じれったいなあ、早くくっついちゃえばいいのに」

どう反応していいのか分からないので、聞かなかったことにする。
あ、流されたなんて言葉が聞こえたけど、うん。流すよそりゃあね。

「早く告白しちゃえばいいのに。あ、もしかして仁王は全国が終わったら告白するのかな?」

1人でそんな事をいっている幸村がすごくうっきうきしてるように見えるのは私の気のせいでしょうか。
別に何も言わないけどさ。ていうか、これにコメントってしにくいし。

「もしそうなら全国が終わるのが楽しみだね、気が気じゃないでしょ北河さん」

もういい、勝手に1人で喋ってるがいいさ。
幸村を置いて、私は1人さっさと歩く。こんな人が部長でテニス部大丈夫なのか?





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