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仁王が告白された翌日、学校は噂でもちきりだった。
どの学年でもヒソヒソと会話が交わされ、内容はどれも同じもの。
教室にはひっきりなしに女の子が来るしで落ち着きがない。
「しくじったかのう…」
「随分疲れてんなあ、仁王」
飴いるか?と珍しく仁王にお菓子を手渡す丸井は、同情の眼差し。
対する仁王も、グッタリと机に伏せたまま。
私も多少、疲れた。まさか私にまで話を聞きに来るとは思わなかった。
「休み時間は逃亡した方がいいかもね…」
「いっそのこと今日はもうサボるかのう」
逃亡をはかったところで途中で捕獲されるに違いないだろうし。
それならサボったほうがリスクは少ない。
「そうなると多分集中攻撃食らうのは丸井かな。私にも多少、ってところかな」
「げー!ぜってぇヤダ!仁王がサボんなら俺もサボるからな!」
「私もー。疲れるの嫌」
仁王が答えないなら同じテニス部の丸井、でなければ女子としては仁王と仲の良い私に話を聞きにくるだろうというのは簡単に予想できることで。
でも私も丸井もそんな疲れることに付き合うのはまっぴらゴメンだ。
「におー、お前もう少し考えて断れよい」
「しつこいんじゃもん。理由言えんなら付き合えて」
「うっわ、タチわりー」
仁王と丸井はただ溜め息をつく。まあ溜め息をつきたくなるのもわかるけど。
この様子じゃあ他のクラスのテニス部レギュラーあたりも被害にあってるかもしれない。
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