赤也発見!
もじゃっこ発見。何処に居るかと思ったら教室で居残りしてやがる。
「赤也ー、何やってんのアンタ」
「せ、せんぱ〜〜〜〜い!!助けて欲しいっス!マジわかんねえ!!」
何をやっているのかと思ったら居残りで英語のプリント。英語の短文の和訳・英訳だとか単語の書き取り。長文読解ならまだしも、これくらいなら全然簡単だろうに。
「…赤也、これくらい分かるようになんないとあんたこの先苦労するよ?」
「ううっ…。に、日本で生きて行くのに英語なんて必要ねーんスよ!」
よって英語は必要ないっていうのが俺の持論っす!と偉そうに言い張っているけど、世の中そう甘く出来てはいないのだ。高校、大学と進学するのであれば英語は必修。付いて回る。そして中学のこのレベルで躓いていてはこの先思いやられる一方だ。そう思いはするものの、私だって英語はそんなに得意じゃないんだけども。
「じゃあ教えてあげよう。と、その前に。『Trick or treat?』」
「へ?と、トリックオア…?」
うん、赤也にこれを言った所で理解出来ないのは予想していたけれど、こうも予想通りの反応を返されると苦笑しか出てこないね!
「……お菓子くれなきゃ悪戯するぞー」
「あ、あー…。なんでしたっけ、それ。は…はろー?」
どうやらハロウィンという単語すら危ういらしい。マジか。
「ハロウィンね。というわけで、お菓子は?」
「え。えー…何かあったっけか…」
荷物を漁る赤也を横目に、机の上のプリントをみる。見れば見るほど簡単な問題だと思う。ていうか、これ多分中学2年どころか中学1年の問題じゃないのか?
「あ、これでもいーっすか?」
「…ラムネだ」
飲むラムネではなく、お菓子のラムネ。ラムネとか久し振りすぎる。
「うん、有り難く貰っておく。じゃあハイ、手伝おう」
「マジ助かるっす…!!」
お菓子一つでプリント解く手伝いしてもらえるのなら安いと考えたんだろう。まあこの調子じゃいつまで経っても問題解けなくて幸村にどやされるのがオチだろう。
可愛い後輩のためにラムネで手を打ってやろう。…この程度の問題で手を貸したとなると幸村にどやされるのは私かもしれないけれど、バレなければ問題ないだろう。バレない、よね?
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