ジャッカル発見!



「あ、じゃっこー発見」
「じゃっこーはねーだろじゃっこーは」

てこてこと資料室近くの廊下を歩いていたらハゲ…ならぬスキンヘッドが居たので早速声をかければ苦笑気味に振り向いてくれた。多分担任とかに頼まれて資料運ばされていたのだろう。ジャッカル苦労人だしなあ。

「そんで、こんな所でなんだけど。『Trick or treat?』」
「え、あ。今日ハロウィンか!だからお前そんなカッコ…!」

わたわたと何かないかとパタパタとポケットを叩いたりしてお菓子がないかを確認している。
こうしているジャッカルを見ると、少し罪悪感が沸いてくる。だってジャッカルの家庭事情考えるとさ、罪悪感も沸くってもんだよね…。それに普段から苦労してるしなあ。

「あ、これでいいか?」
「…飴玉、」

手の平にころんと落とされたのは、一つの飴玉。少しだけくしゃくしゃになった包み。

「わりぃな、こんなんしかなくってよ」
「…じゃっこー…!!」

ハロウィンをやるとは一言も言ってなかったにも関わらず、いきなり声をかけた私に驚きながらも飴玉くれるとか。そしてこんなんしか、とか。じゃっこー本当いい人だよあんた!

「じゃっこー…、ゴメンね、アリガトね、お礼にコレあげるから食べて!家族で食べて!」

言いながら、手にした籠から出したお菓子をジャッカルの腕の中に落としていく。ちなみに貰った物ではなく私が準備したものだ。余分に準備しておいたから、ジャッカルに渡してもまだ数に余裕はある。

「え、いいのか?」
「うん、食べて食べてー。あ、でも丸井に盗られないように気をつけてね」

私のジャッカルへの厚意が丸井に奪われるとか腹立たしいにも程があるし。そうでなくとも丸井は年中お菓子を食っているのだ。これ以上食ったら本当に丸い豚になるんじゃなかろうか。

「もし盗られそうになったら『これ以上食ったら丸いブタって呼ぶぞ』って脅してやるといいよ」

多分一瞬怯むに違いない。そしてブタになんてなんねーよ!と反論するのだ。ジャッカルは笑ってわかったなんて言ってたけど、多分奪われたとしても絶対そんなことは言わないんだろうなあ。本当、人が良すぎる。






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