14
「薫さぁ、仁王君とはどーなってんの?」
「え?」
放課後に教室で友人のよっちゃんと一緒にお菓子をつまみながらの会話。
ふつりと会話が途切れて数秒。次に言われたのが、その言葉だった。
「どうって、何が?」
「付き合ってんじゃないの?」
目が点になるとはこのことか。
思いもしなかった言葉にビックリだ。
「私と?雅治君が?ないない。だって雅治君、中学生だよ?」
流石に年下はないでしょ、と笑って手をひらひらと振ったら。
その手をベシンと叩き落された。痛い。
「中学生?たった一つ違うだけじゃない。それがどーしたのよ」
「…なんでムキになってんの?」
よっちゃんがそこまで言う理由が分からなくて、首をかしげる。
「別に。でも、恋愛に年齢なんて関係ないのは事実だし」
「それはそうだけど。でも雅治君をそんな風に見たことないし。確かにカッコいいけどさ」
好き嫌いで言えば好きだと言える。迷うことなく。
でも、ライクとラブで言えばどっちなのだろうか。
きっとすぐには答えられない。今までそんな風に考えたことはないから。
ただ、仁王君は優しいし隣にいて落ち着く。
もしも仁王君が彼氏だったら、それは幸せなのかもしれない。
「薫、この間一緒に帰ったんでしょ?」
「…さーね」
誤魔化す。けれど、よっちゃんが小さく笑っているからきっと誤魔化せていないんだろうなとは思う。
どうやら私は彼女に嘘はつけないらしい。彼女が鋭すぎるのか、私が嘘をつくのが下手なだけなのかは分からないけれど。
「ほぼ毎日電話してるって言ってたよね?」
「こっちが申し訳なくなるくらいにあちらから電話貰うよ…」
いつも電話をくれるのは仁王君から。
通話代、大丈夫なのかな?
「……どこのアツアツカップルよ!思いっきり脈ありじゃないの?!」
「考えすぎだってば!」
仁王君だって、年上なんて嫌だろう。ましてや、特に美人でも可愛いわけでもない平々凡々な私だ。
私が仁王君なら、もっと可愛い子を選ぶ。
そう考えたら、ちょっとちくりとした痛みを感じたのは気のせいだ。
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