zzz           . | ナノ


なんて綺麗な目をしているんだろう

そう言ってしまいそうになった



私から彼の顔をちゃんと見たのは初めてだったかもしれない。

(ミホちゃんがかっこいいって言ってたけど確かに整った顔してるな…っていうか!)



「…友達って一体どうしたらいいんだろう」

保健室で同級生なんて言ったのが気に障ったのだろうか。でもこの前はじめて話した訳だし…それに

(てっきり嫌われてるんだと思ってた…)

(…何はともあれ、友達になったわけだから「らしい」振る舞いを心掛けるべきなのかな…でもあの人は女の子じゃないし、どんな風にすれば良いんだろう…漫画の貸し借りとかゲームしたりとか?)


どうしたら良いか悩む頭を抱えながら、教室へと戻った。





04




「あ!ナマエちゃんお帰り〜」
「ただいま…二人とも戻ってきてたんだね」
「…ナマエ」
「杏子、ただいま…?」
「放課後空いてる?!」
「ごめん図書委員なんだ…どうしたの?」
「ええー!?…じゃあ今からちょっと来て!」
「え?ちょ、ちょっと杏子!」
「杏子ちゃん、ナマエちゃん行ってらっしゃい〜♪」


様子がおかしい杏子に無理やり手を引かれる形で教室を飛び出す。向かった先は、

「…1-A?」
「ナマエ!すごいんだから!本当に当たるのよ!」
「あ、杏子…まさか」
「すみませーん!まだ受付してますかー!?」


教室の一角で怪しげな雰囲気に身を包んだ男の子がジロリと此方を一瞥する。

(わ…周りにたくさん女の子がいる)

「貴女方は2-B真崎さんと…ミョウジさんですね」
「え?どうして私の名前を知「はい!言われた通り友達を連れて来ましたー!」
「杏子?!どういう事なの!」
「ま、ナマエとりあえず座って〜」


訳がわからないまま怪しげな男の子の前にある椅子に座らされる。杏子を訝しがりながらその人を見るとニコニコと微笑まれる。


「先ほど「どうして私の名前を知っているのか」と言いたかったのでは?」
「…はい」
「僕にはね何でも分かるんですよ、何故なら超能力が使えるので」
「!…あなたってもしかして…」
「そう!僕は孤蔵野です」


(…超能力って胡散臭げ…)


どうやら杏子は友達を連れてくれば更に詳しく未来を透視することが出来ると言われ、私を連れてきたらしい。


「で、私はどうすれば良いんですか?」
「ミョウジさん、僕は貴女の未来が見えるんですよ。」
「未来って…何か良くない事でも起こるんですか?」
「ちょっと手を見せて下さい」
「はあ…」



差し出した手を熱心に触られ、まるで診察をするように念入りに見詰められてもしや不吉な事でも…と冷や汗と心拍数が高くなる。

「ミョウジさん」
「は、はい!」
「最近何か変わった事は」
「えっと、」


(いろいろあるような…)


主だった人物を思い浮かべ、先ほどの握手を思い出してしまう。






(海馬くんの手は冷たかったな…でも大きくて指が長くて綺麗なカタチの爪だった…ってなんで私、そんなこと思い出してんの!)


「見えます!見えますよ〜!」
「へ!?」

「ミョウジさん、貴女にとってこれから運命の男性となる人物が接近してきます!」
「う、運命の男性!?」

「そうです!貴女は自らの全てを差し出すほどその男性に陶酔し、男性もまた貴女の全てを受け入れる素晴らしい仲になります!」
「と、陶酔?!」


「フフフ…ミョウジさん、顔が紅潮しているようですね」
「だっ!だって…」
「もう気付いてるんじゃありませんか?貴女の心の内に偲びこむ人に…」
「…!」


(まさか、いやいや!だってこれから現れるって…!)








「…ズバリ!イニシャルはKです!」
「!!!」


「ミョウジさん、友達になってよ」


(まさか!まさか…!)




「フフフ…驚きのあまり声も出ない様ですね。」
「…」
「今日の放課後のご予定は?」
「あ、の図書委員なん、です…」
「そうですか…それは残念です、では図書室に伺いま


キーンコーンカーンコーン…




「ナマエー教室戻ろ!孤蔵野くん!また明日私の素敵な男性詳しく教えて下さ〜い♪」

「真崎さん、お待ちしてますよ。…やれやれ恋多き男は大変だなあ」




***





「ナマエー?さっきから顔真っ赤だけど何言われたの?」
「へ!?いや、あのっ…昨日テレビ見ながらお腹出して寝ちゃったの透視された、の!」
「えー?」
「いや〜…は、恥ずかしいな〜と、思いまして…あはは」


(ほんとうの事なんて言えないよー!)


(私の運命の人が現れる?イニシャルはK?だってそんなの…そんなの…!)




教室に戻ると思わずあの人の机に目をやってしまう。周りの喧騒など全く聞こえないようなほど落ち着いて、読書をしている。



「ナマエちゃん!おかえりなさ〜い」
「!…ただいま〜」
「どうだった?例の超能力少年!」
「あ!」
「?」
「あ、当たるんじゃないかな…はは」
「やっぱりそうだよね〜!で、何て言われたの〜?」
「え!?そ、そういうミホちゃんは何て言われたの…?」
「アタシはね〜…」



早口でまくし立てるミホの言葉は頭に入ってこず、目を泳がせていると顔を上げた彼と視線が重なる。




「イニシャルはKです!」





みるみる内に顔が熱くなるのが分かり、慌てて目をそらしてしまう。


(ど、どうしよう…!)



チャイムが鳴り授業が始まっても全く集中することが出来ず、悶々としたまま、一心に教科書を見つめる事しか出来無かった。








(20140525)
超能力少年によるとイニシャルKは孤蔵野くんという設定。


 
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