zzz           . | ナノ




「っ…、ぁっ」
「…」
「ご、ごめん…」
「貴様が良いなら構わん」

日の落ちる少し前、閉め忘れた窓から風が入りこれまたまとめ忘れられたカーテンが小さくはためく…良いわけあるか!誰かにしられたらどうしてくれる


「…ん、んぅっ」
「窒息するぞ」
「そ、んなっ状況に陥れたのは、だれよっ?」
「拒否権はくれてやった筈だ」
「ものの数秒間の、ね」

「…足音が聞こえるな」
「やっぱり!、だからこんな所でっ…あ、やっ、あぁっ」
「静かにしろ、聞かれるぞ」
「そ、こだめ…は、なれてっ」
「…さっさと終わらせてやる」
「っぁ、あっ、やだぁ…んっ」
「や、なのか。そうか」
「ちが、っあ、あ」


廊下の足音がなくなった代わりに開け放たれたの窓から女子の騒ぎ声が聞こえてくる。


余裕の無いキスに一方的に貪られ、押し付けられた背後の壁がぐらぐらして、腕に担がれた両足もゆらめく。 ぐりぐりと押しつけるような動きが気持ち良さを通りこし強い痺れとなって身体中をかけめぐった



〜〜〜



身体がだるくて石みたいに動かない、お尻の下やわらかいな、あれ?さっきまで海馬と教室の床で

「、起こしたか」
「…かいば…、」
「車で送る。寝ていろ」
「……ん。」

そのまま気を失ったのか疲れて寝てしまったのか、いつの間にか大きなリムジンの後部座席に運び込まれ座らされていた




「…」
「…さむ」
「…」
「…。」



さっきまであんなにしつこくしてきてたくせに、引っ付いてきたくせに

リムジンが発車してもシートの間は埋まらない。海馬はパソコン、私は窓の外を凝視し続ける

「…」
「…」

決してべたべたするのが好きなわけじゃ、ないと思う。たぶん、あんなに熱かった体温が一気に冷めてしまったから、温度差に戸惑っている それだけ

海馬はそんな風に思ったことあるのかな


(なに考えてんだろ。やめ、やめ。……寝ちゃお)

気付かれないように彼を一瞥しそっと目を閉じる、キーボードをたたく音が次第に遠ざかって体が自然と横に傾く、一瞬考えて車窓側に体をあずける事にした



〜〜〜


「つっ」
「…」
「ちょっとは手加減してよ…」
「…」
「…」
「…」
「…いい、からそんなに舐めないで」
「そんなにひっつくな」
「!何よ、膝に乗れって…ぁ」
「…」
「やだ…海馬っ」


胸元をいじくる指を外そうとするが逆に手首を拘束され、自らの蕾を玩ぶように指先を操られる

「おい暴れるな」
「…あ、やっ…いたっ」
「ああすまん、優しくしてやる」

口元を歪ませて先端をチロチロと舐められたまらず仰け反ると腰を強く引かれいきり立った彼のモノと陰部が擦れ合う

「もっ、降ろして…!」
「降りてみろ」
「…んっ…」
「ここで止めたいのならな」

無理やり顎をつかまれ視線が絡み合う。愉快そうに挑発してきた声色とは裏腹に息がつまるほど真剣な顔

「…はやく」
「何をだ?」
「っ…」
「具体的に言えば応じてやらんこともない」
「や…いえない…」
「言え」

「……か、かいばの」
「俺の?」
「…


ガバッ



「…へ?」
「また、起こしたな」
「わっ海馬?あ、れ…どしたの?」
「車が途中で故障したんだ」
「え、あ、なんでおぶってる「待っていても埒が空かんだろう、このまま送り届けてやる。」


覚めてきた思考は肌寒い空気と開けた視界におどろきあわてて降りようとする

「お、ろして…!」
「暴れるな」
「いいっ…歩けるからっ」
「うるさい、静かにしろ」
「…」
「…」




疎ましそうな冷めた声にだんだんと冷静さを取り戻していく



(夢、だったんだ…)


夢の中は何週間か前の実際にあった出来事だ、あのあとすぐに海馬が一方的に忙しくなって連絡が途絶えて―
(今日、久しぶりに学校に来たんだよね)

放課後、体育の補講を受けていた彼を待って一緒に帰ろうとしたのだ。そうしたら終わった海馬が帰ってきて、ドアが開いて、無言で目が合って―…

(…こんなつもりじゃなかったのに)




「ナマエ」
「…な、に?」

いきなり声をかけられ声が裏返る


「姿勢平気なのか」
「へ?」
「腰、痛いだろう」
「…」
「…車の中でも寒いと言っていたのに外の方がよっぽど冷え込んでいるな」
「…」
「…すまん。」
「…」
「…」











「…かいよ」
「?なんだ」
「あったかいよ…」
「…」

「…海馬、あったかい」
「そうか」
「海馬」
「なんだ」
「海馬」
「…」
「海馬、かいば、かい」


ば、と言い終える前につんのめるように涙が溢れて止まらなくなる、瞼を思い切り肩に押しあてた


こんなはずじゃなかったのに
一緒に帰る、それだけのはずだったのに
いつも思い通りにならなくて
どうしてこんなに情けない思いをするんだろう





「…手間のかかる奴だな」

とっくに家の前に着いていたのにそのまま迂回しずんずんと歩いていく、着いた先の公園のベンチに降ろされた

「…」
「!おい…」
「…かいば」

隣に腰掛けた海馬の上半身にまるごと抱き着く。呆れたようなため息の後、掠れた声が降ってきた

「嫌だったのか」
「、やじゃない」
「痛くしたか」
「それはそ、だけど、ちがう」
「…すまん」
「ちがう」
「なら何故泣く、俺には検討がつかん」
「ご…めんね」










結局、うまく伝えられるような言葉が見つからずやけくそに腕の力だけを強める、そうはぐらかされてたまるかと海馬は海馬で私を引き剥がしにかかる。


馬鹿みたいなやり合いも多分私の負けで終わって、情けなく今まで思っていたことを吐露させられてしまう事だろう、彼の嘲笑う顔が目に浮かぶ、あと数秒渾身の力で抵抗してみよう、べたべたするのは気が引けるけどこうしているのは嫌いじゃない




(明日も一緒に帰りたい)
(20100823)



 
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