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シーツの冷たさはほんの一瞬だけだから贅沢なのよ、あたためられていたり、いつまでたっても剃刀のみたいなのはイヤよ。

それって君の持論?それとも何かしらのボクに対する当て付け?あ、答えなくていいよ。どちらだろうと君のおしゃべりが聞けるのはとても、うれしい。

そういう悦びもあるってことを貴方にも知って欲しかっただけ。もっとも、一人の夜でしか味わえないことだけれど。

なんだ、勘繰って損したよ。つまらないな、そんな感傷は余程自分に酔っていないと出来ない芸当だ。

そうよ、いつもそうやって私は私を守ってきた。

弱者の囈だな、俺にはさっぱりだ。

そんな私をいじくって遊ぶのはだれ?

強者な男?

だれ?



ひとつ、ふたつ、みっつ、手際よくボタンが外れて、白い筋が道になる。はだけた箇所から露になった胸元を這う指、


「綺麗なふくらみだ」
「…」
「それにしっとりしてる」
「汗かいてるだけよ」
「ね、ぜんぶ脱いでそこに立って」
「全部?」
「そう、ぜんぶ。」


起き上がればベッドが軋み、布擦れの音、肌を覆っていた熱い空気がまたたく間に蒸発する

「いいね、綺麗だ」
「おかしな人」
「おいで」
「貴方が、きて」

足元へ跪いた彼は腰に手をまわし、私の腹部へ頬を押しあてがう

「いい匂いがする」
「それ私の匂いじゃないの、石鹸の人工香料よ」
「ちがう。ここ」
「…そこね」
「…」
「…」
「…」
「あんまりいじくらないで…」
「どうして?君にも嗅がせてあげようか」
「やめてよ」
「自然に匂ってきた。これも人工?」
「…意地悪なひと」
「冗談だよ」
「…ねぇ、ベッドに戻りたい」
「だめだよ」

立たされたまま、微動だにできない下半身に代わり、上体は次第に傾いていく

「…」
「座りたい?」
「うん…」
「そのまま腰を落として…」
「…このままじゃ出来ない…」
「なら、どうしたら出来ると思う?」
「もう許して…」
「何から?」



貴方には綺麗な私だけをみてほしいの。

ナマエは嘘つきだね。ならここは君じゃないの?一体これはどこからこぼれてきたの?

私じゃない。それは貴方の指からあふれたの、…もうじき乾くわ、きっと。

じゃあこの躰は誰のモノ?

“誰か”のモノよ。


クっと臀部を鷲掴みにされ、弾力のある塊は密度を増す、触れられたもののすべて、すべてが誰かの為に用意した誰かの為だけの涙ぐましい私の結晶


「…妬けるね」
「誰に?」
「どうすれば俺のモノになる?」
「欲しくなったら何でもするでしょう?」
「へぇ」
「貴方ってそういう人よ」

彼はしばらく目を閉じてそれからフッと微笑んだ

「フフ、出来ないよ」
「そうね、私もされたくない」

「目を閉じて、」
「…なに?」
「君のお腹で気泡がはじけてる」
「やめて、そんなの聞かないで」
「綺麗じゃないから?」
「ただの女心。」
「君は中々かわいい人だよね」
「それでもいや」
「…」
「私、気を抜いてたわけじゃないの」
「知ってる、いつだってナマエはそうだ」
「…」
「俺の欲しいモノは何もくれないコだ」
「…墓穴を掘ったみたいね」

「いいや、これこそ贅沢の極みなんだ」
「貴方にとっての?」
「そう、下らない?」
「とっても。そんなの報われないわ」
「いいんだ、」
「ねぇ楽しい?」
「君は?」
「馬鹿馬鹿しいわ」
「素敵だ」
「素敵ね」
















ねぇ、はやくベッドに戻らせて

(20100119)



 
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