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よかった まだ確かにここにいる


「なに、してんだ」
「…」

マリクの指を一本一本舐めそいで、上目遣いに視線を交える。暫くして、やっとただのおふざけだと察したのか、今度は彼の口内に私の指がつっこまれた


ぴちゃぴちゃと音をたてながら指をそぎ、そがれ、皮質を嚥下する喉の収斂とざらざらと這いまわる生温い薄い肉、



ようやく五本を堪能し指を抜きさるとマリクも舐めさし、美味そうにしごくねぇ、そんなにたまってんならそこんトコ舐めてやろうか?といかにもな挑発でそびきだす



「べちゃべちゃ、だね」
「どこがだ?」
「……指が。ばかじゃないの」
「そんなに睨むなよなぁ」
「どんどん猥褻になってくよね、マリク。」
「そりゃ、どうも」
「…呆れた。」
「ハッ、でも嫌そうにはみえないねぇ」
「そうだったらこんな所に居ないでしょ、」
「…素直じゃないんだよ」
「ちょっとっ、くすぐった…!」
「ククッ、感じまくりだねぇ」
「やめ、てよ……ははっ」
「誰がやめるかよ」
「っ…あははっ…」





「……」
「……」
「…泣いてんのか」
「  」



くすぐったくて、可笑しくて、胸が張り裂けそう。目蓋を覆った手のひらが離れてくれないよ







まだ確かにここにいて
愛しさのかけらもない言葉を呟いたりするものだから、ぞくぞくする位安心して、




「ナマエは泣き虫だなぁ」
「…」


ベットの中で引寄せられぎゅうっと抱き締められる



ちがう、違うよ
一瞬先は応えるべき未来で目一杯で、振りむくことなんて出来ないから、これから何が起きたって涙を枯らしておけばもう泣かないで済むじゃない、だから私は泣くの、泣き続けるの、


「…馬鹿か貴様」
「え…?」
「そんな事出来るわけ、ねぇ」
「…なんでよ、」


「俺がいるからに決まってんだろ」

その間は乾きもしねぇよ、過去に浸るなんて無理なんだよ、残念だったなぁと頭を撫でる手を無理やり振り払うと身体を押さえつけられ馬乗りされる。



「降りて!」

「んまぁ、今のうちにわめいときな」

「…離して、よ」

「ナマエいいこと教えてやるよ」

「…」

「いつか泣きたくても泣けなくなる時が来るぜ」



そう遠くないうちにな。と笑ったマリクの頬に平手打ち







したかったのに彼の手で目蓋を覆われ、真っ黒な洪水にのみこまれる。








宙に浮いた手は見えない目の前の熱を探していた














(そうか、そうだ、)(私の涙が枯れる時、あなたはもう泣きたくても泣けないのだ)
(20091111)


 
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