zzz           . | ナノ




たとえば

「もし私たちの体が入れ替わったらどうする?」
それは小さな好奇心で

「…海馬くんいたい」
「どうしてそうわけのわからないこと言うんだい?」

いつも突飛な事をしだすのはどっちだって言い返しそうになってやめた。
つままれた腕が痛い。
そして行動とミスマッチする優しい言動。

「なんとなく、だけど」
「ナマエ、ボクを誘ってる?」
「なんでそうなるの?!」
「なんとなく、だけど?」

少し顔が赤いね、かわいいよ、と頭を撫でられる。だめだはぐらかされてる。

拗ねる私から離れて

「大体ね、入れ替わったってどうもならない」
「どういうこと?」
「ボクと君そっくりだもん。周りにもさして障らないよ」

まさか。海馬くんと私が似てる?
ありえない。と呟けばにっこりと微笑まれる。

「まぁ僕は愉しいけど」
「入れ替わったら?」
「だってナマエの身体でしょ?」
「…何する気?」
「腕でも食べちゃおうかなー」
「へ?」

元々はナマエの細胞組織だったんだし、美味しいと思うんだけど。
とひとり言のように続ける彼を見て、冷や汗が噴き出る。

「海馬くんが言うと冗談に聞こえないよ…」
「だって冗談じゃないし」
「本気なの?」
「はいコーヒー」
「あ、ありがとう」

どこぞの貴族のようにコーヒーを飲む海馬くんを横目で見つつどきまぎしながらカップに口をつける。


「…っつ、」
「どうしたの?」

思った以上に熱いコーヒーにうろたえてお決まりのごとく腿にこぼしてしまった。
そのままソファにもしみていく

「ご、ごめんなさいっ」
「はい、カップ頂戴」
「え、あ…あの…」

機嫌がいい彼はどうやら片付けてくれるみたいで接近した彼の匂いに息の仕方を忘れる


「あり、がと……え?!」

カップに添えられた彼の手首がゆっくり傾いて中の液体が白いズボンに流れおちる。

隣で呆然と茶黒い模様に釘付けになる私の様子を満足気に見て

「やっぱりボクら似た者同士だ」

「…」
「ナマエ?」
「…わざとこぼしたのに?」
「君だってわざとの癖に」
「なっ…違うよ!」
「ボクばっかり見てるからだよ」
「う…」

ボク以外見たりしたら殺すけど、とはにかむ彼に狼狽えることすらできず呆気にとられる




「ねぇ」
「何?」
「もしかして元気付けてくれたの?」
「…何を言い出「ありがとう」

みるみる内に彼の頬が染まる


「ソファの張り替え位でとやかく言う男じゃないって知ってるだろ…」
「ありがとう」
「第一君はボクの恋人なんだからもっと我が儘にならなくちゃいけない」
「ありがとう」
「傲慢で高飛車で恥じることなんて忘れるべき、だ」
「ありがとう」
「煩い、黙れ」

抱きしめられて、耳まで赤い海馬くんに抱きしめられて、なるほど似ているのかもなと納得した自分に呆れて笑ってしまった



(ただの日常の会話)
(20091018)


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -