檻になる左手
したたかに這う尾鰭
あなたは春さえ知らずに
ひとりに震える舌で溶かして
アルカリの浅瀬を行く
バージンロード・プロトタイプ
孵らぬ卵は夢想する
さよなら、もしくは愛してる
あなたがいないといつまでも寒くて眠れない
密室の繭
Jun 30,2012
君よりすてきな名前を知らない
明日、彼女の腕のなか
ダイアモンドなんていらなかった
ヒールを鳴らして合図して
君の言葉はざらざらする
好きと苦しいが同居する
箱に入れてね、リボンも頂戴
メッキ加工のわたしたち
同じ檻に暮らしたのはいつだった
それはそれは、甘やかな空気の震えだった
Apr 28,2012/ Jun 9,2012
さよならじゃない言葉を頂戴
すり傷、かすり傷、血はでない
伸ばした指で花を折る
今だけわたしをきつくして
袖を濡らしたまぼろし
僕らは声を殺して伝えてる
ズタズタにしたなら額で飾って
あなたの両目に棲む
１８才のジオラマ
青春を抱きすぎた、とある小説より
Apr 27,2012