▼もしもの話

薄暗い古代。
毎度のことながら妄想捏造全開です。








































こんなことを言えばお前はきっと馬鹿らしいと笑うんだろうが、少しくらいこんな馬鹿げた話をしたって罰は当たらないだろう。

もしも、だ。オレが王じゃなく、お前と同じ身分だったなら。
辛いことや悲しいことが一切起きない優しい世界で、共に育っていれば。
目を覚ませばお前が隣に居て、オレの好きな綺麗な銀色の髪は朝の白い光を浴びてキラキラと輝くのだろう。起こしてもなかなか起きないお前につられて、一緒の布団で二度寝して、日が高くなるまでそうしているのも良いかもしれない。

憎まれ口を叩きあいながらも、昼間のにぎやかな街を歩いたのだろうか。お前は食い物に目が無いから、露店の前でたびたび立ち止まるんだろう。オレの服を引っ張って果物をねだって、犬みたいなその仕草にほだされて、二人で熟した果実を齧りながら太陽を見上げて、美味いな、なんて言いながら笑いあって、寄り添って歩く。

馬で砂漠を駆け抜けるのもいい。どちらが早く走れるかなんて競争をしながら、夢中で馬を駆けさせる。渇いた喉をオアシスで潤して、そのうちに子供みたいに水を掛け合ってはしゃいで、濡れた服が気持ち悪いな、なんて言いながら家に帰るんだろう。そこで温かい食事をお前と一緒に囲んで今日のこと、明日のことを話しながら、のんびり食事をするんだ。それこそ、お前と食べるのならどんなものだっていい。ただお前が笑ってそこにいてくれれば、それでいい。

時間に囚われずにゲームもしてみたい。お前は賭けが好きで好戦的なくせにいつもオレに負けるから、結果は見えているが。それでも、くだらない話をしながら、時には真剣に、駒を手に取って思索するお前を見ていたい。
そうして疲れて横になって、月明かりに照らされたお前の横顔を見ながら、「おやすみ」と話しかける。そうすれば「おやすみ、また明日な」なんて楽しそうに言うんだろう。そんな些細な幸せが愛しくて、お互い身を寄せ合って、明日は何をしようか、そう考えながら眠りに就く。

「なぁ、バクラ」

そんな未来だってあったはずなんだ。
そう一人呟いて、冷え切った唇に口付けをした。



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王様の妄想でした。そして私の妄想でもある。
王様と盗賊の最大の障害は過去と身分だと思うんですよね。
つまりそれを取り払えれば王盗は幸せになれるじゃないかとは思うけどそんな簡単にはいかないわけで辛いです。

どうして私の王盗は幸せにならないんですか(知らない)


2013.07.05



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