※土方目線 (ギャグ微裏)


総悟がまた仕事をサボりやがった。週末の昼下がり、俺はイライラと屯所の廊下を歩いていた。

目的の場所、総悟の自室の前で立ち止まる。

今日という今日は引きずってでも仕事をさせてやる。そう決意したのもつかの間、目の前の部屋から漏れる男女の声に俺の耳は釘付けになった。


「総悟、ダメ……も、苦ひぃ……」

「まだでさァ。ほら、ちゃんと口開けなせェ」

独特の江戸っ子口調は紛れもなく総悟。そしてもう一方は女中の名無しの声だ。

「う……ん、ひょっと、ほんなに奥まれ、ひれないれ……んっ!」

何だこのシチュエーション。名無しと総悟の仲が良いことは知ってたが、まさかそんな関係だったとは。

しかも総悟の奴、何しゃぶらせてんだよ。タチわりーぞ。あ、まずい。変な想像してたら色々大変なことになってきた。落ち着け土方十四郎。盗み聞きでおっ立たせてる男とかマジでシャレんなんねーぞ……。

「あーあ。口の周り、ドロドロでさァ。さっさとゆすいで来なせェ」

総悟の声と共に衣服が床を擦れる音。俺は反射的に廊下の角に身を隠した。

襖が開き、涙目になりながら口元を覆った名無しが洗面所の方へと駆けて行く。その後に続いた総悟の手には、なぜか歯ブラシと歯みがき粉が握られていた。

ん?待てよ。歯ブラシ?歯ブラシ?歯ブラシ!?

途端にへなへなと力が抜ける。最低だ、俺。すっかり脱力した俺は、来た道をとぼとぼと戻るのだった。



(ん?トシ、どうしたんだ?)
(放っといてくれ、近藤さん……)

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