レネ・クラウス



クラウス家は呪われている。

ニーグラス大国、シレメーネ区生まれのお嬢様。四人兄妹で上に3人。姉、兄、兄の順で、レネは末っ子だ。
やさしい父と、少しきびしい母。
のんびりとした姉と、しっかりとした兄。
少しいじわるだけど一番仲よしの二番目の兄。みんなにかわいがられて、レネは幸せだった。

それが崩れたのは、たった1本のナイフが原因だった。

ナイフが踊る。父の胸を刺す。
金色の光、母の首が跳ねる。
兄と兄が脳天を貫かれた。
姉は、レネを逃がした。

その後の、レネの記憶はない。

気が付けばレネは暗殺者となっていた。
人を殺しその金で生きていた。
手には、あの錆びた金色のナイフがあった。

レネはそれをあっさりと受け入れた。
いや、受け入れるしかなかった。
他の生き方は分からない。久しぶりに見た気がするカレンダーはあの日から五年後の日付けをさしていた。

2年経って、レネはメイニー区の屋敷に居た。ここに来るツヴェート・ロックジアクという男を殺すのだ。紫の目の男は、ひとりしかいない。
独りになったところに忍び寄り、そしてレネは振り向きざまにその男に左目を刺された。

残った右目には、綺麗な紫がいっぱいに広がった。

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