最後の夜だから、と言う自分がまるで……



ぎしぎしとベッドのスプリングが軋む音がする。明かりもつけず、薄暗い部屋。カーテンも締め切ってるために月の明りが入ってきて幻想的だということもない。遮光カーテンだしな。暖房もクーラーもつけていないため少し肌寒いはず。しかし、裏腹に汗ばむ肌が自分を誘うようで。自分の下で苦痛と快感に歪む表情を見て、エロいなぁ…なんて思う。中学生の癖に。高校生が中学生を犯してるって、犯罪だろうか。と、考えながらも上手い具合に飲み込めずに口の端からこぼれ流れていく唾液にすら欲情出来てしまう今の自分を尊敬する。ふと、何かに気付いたかのように功刀は一点を見つめた。

「どうした?痛いのか?」

そう言って、功刀の頬を撫でる。汗で張り付いた髪もはらりととってやる。功刀は、小さく首を横に振ると、ソレ…と俺の左肩を示した。ソレ、とは俺の左肩にある噛み痕である。通常の人間より自己治癒力が低く、いろんな痕が数年単位で残っている。病気なのか遺伝なのか何なのかは俺自身も知らないし、親も知らない。病院で検査をしたこともない。ただ、治るのが遅いから気をつけろと物心ついた頃から言われてただけだ。

「……で、コレがどうした?」
「それば誰につけられたとね」
「はぁ…」
「な、何ば、ため息…っ!」

ため息をついて、何か言いたそうな功刀を突き上げる。突然与えられた刺激に言葉が途切れた。何すんだって感じで睨みつけてくるが、涙目な上に少し赤く染まった顔で威力はない。あぁ、可愛い。この数ヶ月ですっかり変わってしまった自分に笑いが止まらない。「2年前。」言いながら功刀の手をとり、自分の頬に充てがう。冷たいような温いような。

「卒業式の夜に会いたいと思った奴に会いに行ったら、何故か噛まれた」

と、答えたらわかりやすく功刀は眉間にしわを寄せた。いっちょ前に嫉妬か、なんて嘲笑する。嫉妬に狂え糞餓鬼めが。数か月後のお前だとは絶対に教えてやらねぇ。また何か言いたそうだった功刀の口を自分のそれで塞いで行為を続けた。




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