目の前に仁王立ち。なんて威圧感。ちっこいくせに。これを口にすると飛び蹴りされるかもしれないし、最悪殺されるかもしれないので絶対にしない。

「こげん時に何しとっとね!?」

そう怒鳴りつける功刀先輩の前に私と昭栄は小さくなり正座をしていた。昭栄の顔には小さめの湿布と絆創膏が張られている。合宿の自由時間だったから隣で一緒にしょぼんとしている昭栄とちょっと外に出ただけなのに。時間にしてものの数分だ。多分。テンション上がってたから10分くらいいたのかもしれない。
そこまで怒らなくても良いじゃないか、とさっきからずっとガミガミ言ってる功刀先輩に思う。
そんな先輩の後ろでがたがたと窓が音を鳴らす。ガラスで隔てられた世界の先では色々なものが駆け抜けている。葉っぱをはじめ小枝やバケツやしまいには凶器に成り得るであろう傘まで。今考えると恐ろしい中で遊んでいたものだ。

まぁ、あの中で遊んで桜の枝が折れて昭栄の顔面に命中して怪我をしたから戻ってきたのだけれど。側面でこればよかったのに、縦で刺さるかのように飛んできたために、思ったよりも損傷が酷かった。練習に支障が出る程ではなかったけど。コンタクトじゃなくてゴーグルしてて良かったね!と二人して心底思った。コンタクトは飛ばされているであろうし、枝が目に当たっていたら一大事だもんね。


「聞いとるんね!?」
「うわぁ!」
「やっぱ聞いてなかか!」


そう言ってまた怒鳴ると先輩は話を聞いてなくて上の空で吃驚した私の頭を小突いた。痛い!あまり力は入れてなかったのだろうが、痛い。加減してくれているとわかっていても痛いものは痛い!しかも、どうして私だけ!昭栄は!?なんで!?と、思って昭栄を見ると、うつらうつらと船をこいでた。どうして!?


「えっとー。聞いてなかったんですけど、そろそろ足が痺れてきたので解放してくださーい」
「………こんアホ!あと15分そこでじっとしとくと良か!」
「「えぇー!!」」


たった15分だけれど罰正座の刑を言い果たすと、功刀先輩はよっさんキャプテンと言う名の見張りを置いて何処かへ行ってしまった。さっきの通告で昭栄も目を覚ましたようで、一緒に15分間正座をして足の痺れに耐えながら、今度ちゃげあすごっこをする時は功刀先輩も誘ってあげようと話していた。よっさんキャプテンに、さらに怒らせるだけだからやめとけと言われた。
そうですね、誰がちゃげで誰があすかで誰があまりになるのかで喧嘩しますもんね!と言ったら戻ってきてた功刀先輩に拳骨をさらに一発いただいた。流石に涙が出ました、まる。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -