何をするでもない普通の休日。大きめの窓から日差しが煌々と差し込んでいて暑い。それでもゴロゴロとベッド内を右往左往して遊ぶ。いつの間にか眠ってベッドで惰眠を貪っていると、電話がそれを中断させるように鳴りはじめた。私の安眠を妨害するとは良い度胸だ…と這いずり出て電話へと向かう。仕事の電話だったら面倒なことになるので仕方ないよね。
そして、この家にあるのは昔ながらの黒電話なので今時の留守番電話などと言う便利なものは存在しない。こちらが出るか、あちらが諦めるまでなり続ける。思いの外煩いベルである。受話器を取るとうるさかったベルが鳴り止む。


「はい、もしもし」
「あ、やっとでた。オレオレ、あのさ――」
「私の知り合いにオレオレさんはいないので、さようなら」
「え、ちょ…っ!!」


問答無用でガチャリと受話器を置いて終了させる。もう一度怠惰を貪ろうとベッドに足を向けると、再び電話がなった。あぁ、しつこい。受話器をとって耳にあてがう前に下ろす。嫌がらせにはこの対処法が一番。などと思っていると、またベルが鳴る。煩い。またも受話器を浮かしてすぐに戻した。何度も。何度も。いっそのこと、電話線を抜いてやったほうが良い気がしてきた。また目の前で黒い無機物が音を出す。しつこい!!


「………何」
「冗談でもなかったけどガチスルーは傷付くだろうがよォー」
「しらない。めんどくさい。切る」
「待てって!!」


電話の向こうでミスタが騒ぎ始める。うるさいなー…今度こそ電話線抜いてあげたい。コードをぐるぐる指に巻きつけて遊びながら聞いてると、どうやらゲーセンで遊んでるからお前も来いよということらしい。はいはい、寝起きだから支度できたらね。と言って受話器を置いた。最後にご機嫌そうな声が出てた気がするけれど。単純野郎か。

顔洗って着替えてると冷静に、返せ、私の睡眠時間!ギャングがゲーセンの何で遊ぶんだ!プリクラか!男共でプリクラか!!何か奇妙な軍勢を呼び寄せたいのか!と叫びたくなった。叫びたくなった時には既に叫び終わっているのに。
っていうか、きっとミスタがゲーセンのUFOキャッチャーをプレイすれば、周りから見ればぬいぐるみや菓子類は絶妙な素晴らしいバランスを取りながらクレーンに運ばれていることだろう。スタンドは一般人に見えないことがどれだけ便利で有利なことか。ちなみに、仲間たちにはピストルズ達が必死に落ちないように支えているのが見えているのだろう。イカサマだよなぁ。ズルだよなぁ。バレなければ問題ないのかな…。




それなりに見える格好に着替えてハイヒールの踵を鳴らし、ゲームセンターの前まで行くとミスタがくまっぽいぬいぐるみを小脇に抱えて出てくるところだった。似合わねぇ…。そんなミスタに、無言で両手を差し出してみた。彼は笑ってくまっぽいぬいぐるみを私に差し出して頭を撫でた。なんだよ、お前、そんなキャラじゃないだろ!!
そうじゃないのに、と思うのだけれど、渡されたぬいぐるみを受け取り抱きしめて顔をうずめると、なんとなく、彼の匂いがしたので、まぁ、うん。いいか。


「……ありがとう」
「いつもそんだけ素直なら可愛いのにな」


お前だれだ、本当に。疑いたくなる私の耳元でピストルズたちが、一番支えたのは自分だ、俺だ、などと口論してるので、カフェで何かケーキでもあげないといけない気分になりどうでも良くなった。イカサマだからお店の人には謝りたくなったけどね。ズルしてるだろうってことは最初からわかってたけどね!


「ジョルノたちは?」
「先にいつものレストラン行ってる」
「ふーん。あ、そうそう。ワキガって、腋臭症って病気らしいから今度の休みに病院行ってきなよ」
「誰から聞いた!?」
「フーゴ。こないだ遊んだ時に言ってた」
「後で覚えてろよーーー!」




L'animale imbottito di un bel bel orso





もらったくまっぽいのぬいぐるみはジャポネーゼのゲームに登場するキャラのぬいぐるみだったらしく、ジャポネーゼ風にミス太と名づけて私の部屋に居着いている。でも、左右で白黒って…趣味悪いね。うぷぷぷぷ。

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