俺は毎日のように学校の図書室へ放課後は寄っている。家に帰りたくないわけじゃない。ただ、俺が本の虫なだけだ。
本を読むのが昔から好きだった。だから毎日のように本を読んでいたら、幼稚園の時点で1日1冊は読まなくてはたまらなくなったのだ。そして、それは今でも残っており学校が所蔵している本を片っ端から読みあさっているのだ。地元の図書館は学校から多少遠いのと既にほぼ読み切ってしまっている。そのため学校の図書室の本を読んでいるというわけだ。

ついでに今はミステリーを読むのにはまっている。読みながら謎解きを自らもするわけではなく、誰がどう動いてどう謎を解いていくのか、という感じで傍観者位置で読んでいる。それでも、物語の中には引き込まれるわけで。声をかけられたり遮られたりされるまでそのまま読み続け10時間なんてこともあった。
学校の図書室はもう静かであることが暗黙のルールで集中して読めるから好きだ。
今日も今日で本を読むのだ。


「陽太!」
「・・・ん?」

呼ばれたので途中になってしまった本にしおり糸を挟んで顔を上げる。今日は人が僕しか居ないとはいえ、図書室入り口から最奥に居る僕を呼ぶという行為は些かマナー違反ではないのか。そう思いつつも、何も言わず手招きをするだけの友人の元へと歩み寄る。
本を片手に。もちろん机の上に置いていたかばんも忘れずに持っていく。特に何か入っているというわけではなく忘れてもさして問題はないが、明日SHRが始まる前にまたこの図書室によらねばならなくなってしまう。それは有意義に過ごしたい朝の時間が削られるので遠慮したいのである。朝は早くきて教室で本を静かに読みたい。

「どうした?」
「いや、特にどうもしないんだけど。久しぶりだから一緒に帰ろうかと思って」
「うん、わかった。コンビニでも寄って行こう。アイスの1つくらいおごってやるよ」
「まじ?やった!」

ただ当番が居ないだけで、僕が図書委員会所属で今日の担当だったというわけでもなく、一個人の利用者が鍵当番をしなければならないというわけではない。ので、図書室の鍵はそのまま開けた状態で放置する。そして、榛名とコンビニへ向かうべく歩を進めた。

「何にするんだ?」
「俺、ガリガリ!」
「皆それ選ぶよな、美味いのか?」
「普通にうまい」
「別にハーゲンダッツ選んでも良いんだぞ?」
「まじで!?陽太太っ腹!」


如何にも普通の男子高校生らしい榛名と居るのは楽だ。俺といるときはこの普通さが普通になっているから勘違いをする。こいつは野球部エースだということを忘れるのだ。



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