今日こそは、と思いつつも今日も今日とてパソコンに向かっていた。髪はまた一つにまとめている。一番楽なのだ。しかし、過程や仮説は打ち込めるものの、最後の結論が出てこない。かれこれ打っては消し、打っては消しを1時間は繰り返している。数文字進んでいるのかどうか怪しいところだ。一学生に進化や退化や適応云々のテーマは重たいって言ったのに、あの教授め!と、愚痴を零しても終わらない。愚痴を言う暇があれば打ってみろ、というのが教授の言い分だ。酷すぎる。キーボードを卓袱台返しの要領で画面に叩きつけたくなった。壊れてしまってはこっちが諸々と終わるので我慢する。終わったらストレス発散にカラオケでも行かなければ…とやる気を出してみる。
画面の見すぎで視界がチカチカする。ドライアイ寸前か。目頭に米神を押さえているとコンコン、とノック音がした。発生させたのはいつでも不機嫌そうな弟だ。何故にそう不機嫌なのかわからない。私が嫌いか。


「どうしたの?明日からまた合宿でしょ、寝ないと」
「クマば作りよる人間に早う寝れ言われても寝れんばい」
「うわ、クマ出来てんの!?」


言われて、思わず目の下を隠してみたものの消えるはずもない。引きこもり、とまでは行かないが何処か遠出することもなくレポートと格闘していたからか、あまり鏡で自分の顔を見る機会が少なくなっていた。完徹した後からずっと睡眠時間は短い。それでも4時間は寝ているが。身体が短いのに慣れてしまうと長く眠れなくなるような事例はあったか、思い出せない。ちゃんと寝なくてな…寝てもすぐにクマが消えるわけではないが。


「今考えたかて出てこんもんは出てこんばい。今日はもう寝て明日考えれ」


また弟はそれだけを言うと部屋へと戻っていった。寝るのかよ。首をぐるりと回すとポキッっといい音がした。とりあえず、何か飲んでから寝よう。こぼしてパソコンがおじゃんになるのが怖いので部屋に飲み物を持ち込んでいない。水分を一度少しでも欲してしまうと、急激に欲してしまう。
キッチンに行くとマグカップが一つ置かれていた。中には白い液体が入っていて、それを手に取るとまだ少し暖かかった。猫舌の私用に作って冷ましてくれていたのか。私がここに来なければこれは明日の朝までこのままで冷えていただろうに。ホットミルクを少しずつ飲みながら、言葉の少し足りない弟にありがとう、おやすみと呟いた。今日はいい感じに眠れそうだ。




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