「……あ、あの、リンちゃん?」
膝の上に抱いた髪にべたべたとキスの嵐を浴びせる。少し頬を赤くして悶えるミク姉が可愛くて仕方ない。現在日時8月30日23時50分。ぬくもりをこの手の中に抱いている充実感に、あたしは笑みをつくった。
あと、もう10分。そうしたら大事な大事なミク姉の記念すべき誕生日。あたしは、時計の長針が12をさすその時に誰よりも先にミク姉の近くで「おめでとう」を言いたくて、そして今現在柔らかい身体を独り占めすることに成功していた。ちなみにミク姉好きという点で共通している弟やバカアイス兄、変態百合妹という敵をかいくぐることに成功した理由は、いわゆる先手必勝、ネットであれこれした睡眠薬がなんたらという裏事情があったりするんだけど、そんなことは些細なことだ。努力の結果、大好きなミク姉を抱きしめることができているのです。あたしにとってこれ以上の幸せはなかった。
背後からぎゅうっと抱え込んで、ミク姉の体温を堪能する。日付が変わるまであと5分。近付いてくる大事な時間に胸が高まった。
もぞりと身じろぐミク姉、だけど離しはしない。黙ってしまったのはきっと声にも出せないほど恥ずかしがっているんだろう。ああ、もう、ほんとに可愛くてたまらない。大好きミク姉。そんな気持ちを込めてさらに腕に力を込める。
あと4分、3分。もうすぐまた一つ年を取るおねーちゃん。年に開きができてしまうのは悔しいけど、4ヶ月ぐらいしたらあたしも15歳になる。その時はプレゼントなんかいらないからミク姉と過ごせたらいいなあ。だけど、優しいミク姉はきっとあたしと同じく年を取る弟のことも気にするんだろうけど。
そんなことを考えてたらあと1分。ああ、あとちょっと。愛しい人が生まれた時間が近付く。動き続ける秒針に鼓動がどんどん早まる。深呼吸をして、あたしはミク姉の肩に顎を乗せ、耳元に口を近付けた。この溢れ続ける想いがちょっとでも伝わりますよう。普段は信じてもいない神様に願った。
長針と秒針が12をさす。とびきりの笑顔を浮かべて、大切な大切なミク姉にささやいた。
「お誕生日、おめでとうミク姉。だあいすき」


Thanks:heso



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