「ボンジュール!レッド!」
奥の階段から足音が聞こえると思ったら見えてきたのはあのツンツン頭だった。高らかによくわからない言葉とともにレッドの名前を呼んでまたくるくると舌を回す。
「せっかく船長に居合い切り見せてもらおうと思ったのにこれがただの船酔いオヤジ!」
「船長さん、船酔いしてるの?放ってきちゃったの?」
「しょーがねーだろー?俺酔い止め薬なんか持ってねーもん」
レッドがコイツの前だと少し饒舌になるのはコイツがペラペラと早口で喋るからだというのは僕の考察だ。
「珍しいね、グリーン世話焼きなのに」
「それは、ほら、あの……」
けれどレッドがそう言ったのに対して、ピタリとテンポが止まった。相変わらずあーだのうーだのと声は発してるものの、今まで雪崩こむようだった話がすっかり止まってしまった。
「グリーン?」
レッドも疑問に思ったのかソイツの名前を呼んで先を促した。けど、ソイツは「あー!もういいだろ!?」なんて逆切れして話しを切ってしまった。
「とにかく、レッドも会いに行ってみるなら行ってこいよ、無駄だと思うけどな!」
そしてレッドに足を進めることを推した。かと思ったら
「ただし俺とバトルしてからだ!」
なんて言ってボールを構えて今度は足止めをした。自分勝手な奴だなあと僕は思ったけれど、レッドはそうは思わなかったのか、何も感じなかったのか、楽しそうに自分もボールを構えた。

ソイツとのバトルはもちろんレッドの勝ち。始めにレッドがコイキングなんて出したものだからソイツが呆気にとられてバトルが中断したものの(コイキングはすぐに引っ込んで僕と替わった。経験を積ませるために一度出しただけだったんだろう。)その後は流れるように勝敗が決まった。
「じゃー、またなー」
勝負に決着がつくと、一言二言愚痴をこぼしてからそう言ってまた足早に手を振りながら去っていった。
「っまたね!」
レッドが慌ててかけた声はちゃんとソイツに捕まったらしく、おー!という少し間延びした声が返ってきた。レッドはそれを聞くと嬉しそうに微笑んでから、これまたアイツの背中が曲がり角を曲がるまでずっと見ていた。


局地的世話焼き

(世話を焼くのはお前だけだと)(言えたらよかったのに)


------------------------
はっきりいいます。ピカ様は緑が嫌いです。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -