今日は満月だとそわそわするわたし達。山全体がちょっぴり賑やかになる月に一度のおまつりみたいな日。そんな日に、もう夜も深いというのに山へ入ってきた男の子がいた。よく見かける短い履き物の男の子とは違う男の子。そうだなあ…見た目を一言でいうなら、赤。
その男の子はやっぱりちょっと暗いこの山が怖いのか、肩に黄色いピカチュウと、足元に緑のフシギダネがついていた。(綺麗な色合いだなあって思って暫く目で追ったのは内緒!)
その子はわたし達が集まっているのを知ってか知らずか月がてっぺんに登る頃に山頂へたどり着いた。そしてその子の目の前で始まるわたし達のおまつり。輪っかになって踊ったり、月に向かって指を振って跳び回ったり。私もその中に入りつつ、ちらりとその子を盗む見る。(なんでこんなに気になるのかは私もよくわからないの)そしたらこっちをきらきらした瞳でじっと見つめてる。月の柔らかな光に彼の赤はずっと輝きを増して。私はこっそりみんなの輪を抜け出して彼へ近づいた。ぱちりと視線があって、私は顔に熱が集まるのを知った。(元々桃色の私の頬が染まったかは定かではないけど)
「わあ…ピッピ……!」
彼の最初見かけた時とは随分違う期待の溢れる表情はより私を惹きつけた。しゃがみこんで私に目線を合わせるその男の子はおずおずと手を伸ばしてきた。
私は何も考えず(いいえ、周りの子達の不安そうな声はきっと聞こえていたわ)その子に近づいた。どちらかというと彼の肩の上のピカチュウの目が威嚇していたけど、すり寄った私を恐る恐る抱き上げて抱きしめて、
「可愛いね、」
って言ったの。恥ずかしくて嬉しくてなんだかわからなくなってピイッって小さく声を上げたらちょっと離されて赤と目が合う。
「えっと…そうだ、図鑑…あのね、」
それた赤を追うとその子の鞄の中からさっきのピカチュウが赤い箱を引きずり出していた。
「君のデータが欲しいんだ、ボールに入れてもいい?」
彼が取り出した赤と白のボールを見た瞬間、他の子達が隠れたのと逆に私の胸は期待に揺れた。
(私を、連れて行ってくれるの?)
「一緒に、来てくれるの?」
私の体はボールに吸い込まれた。

満月の下で

(私はレッドに惹かれたの。)


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なんだかパターン化してしまっている気がしてならない。


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