五人程と休みなく戦った後だった、その変なヤツがレッドに声を掛けたのは。
「見事だったよ!感動した!こんなに早くこの橋を渡ったのは君が初めてだ!これをあげよう!」
僕はなんだかソイツに嫌な感じを覚えてレッドのズボンの裾をくい、と引っ張った。けど、ソイツのまあ見事な早口(確かこういうのをマシンガントーク、って言った)に捕まってしまい、優しいレッドは動けずになにやらピカピカの玉を貰った。
「ところで…そんな強い君にここだけの話、ロケット団に入らない?」
と、貰った玉を珍しく吹き出しそうになりながら鞄に無造作に突っ込んでいたレッドに、なにやら不穏な言葉が投げかけられた。
「俺達はポケモンを悪いことに使おうっていうグループだ!」
意気揚々とそう声をあげたソイツはニヤニヤとレッドを品定めするような視線で見てから、もう一度「入んなよ」と語気を強くして言った。そこで、ようやく鞄を背負い直して、多分、先日も遭遇した“ロケット団”を思い出したんだろう(レッドはあまり記憶力がいいとは言えない…と、思う)怪訝そうな表情を隠さずソイツに向き直った。その一連の動作の合間にも相手はしつこくせがんでいる。
「…断るって顔してんな それならー!無理矢理入れてやる!」
うりゃーッなんて叫びながらそいつはズバットを繰り出した。ああやっぱりか、僕は再び前へ出た。

「お前、ホントつえーなー…それだけの腕があればロケット団でもえらくなれるのにもったいないぜ」
自分の負けが決まった途端、先日の情けない奴とは違い、開き直ってもう一度勧誘紛いのことを呟いてからそいつはさっさと去っていった。それに合わせて僕もレッドのところに戻ると、レッドはぽかんとしていて、多分何だったのかよくわかってないんだろうなって思った。

伸びる悪の手

(僕、頑張るから、レッドはそのままでいてね、)


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貰ったのはきんのたま。
うちのレッドさんは割とのんびりさん。


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