赤い帽子に赤い服。最初にジムに入ってきて、石像に刻まれた先日のトレーナー、グリーンの名をじっと見ていたその子を見たとき、タケシが言っていた子だとあたしは密かに口端を緩めた。

「あたしがこのハナダジムのジムリーダー、カスミ!ようこそ、レッド!」
聞いていたようにものの十数分であたしの元へ辿り着いてしまった目の前の小さなトレーナー、レッドにあたしがそう高らかに自己紹介してみせると、レッドは目をまあるくして驚いたような顔をした。
「ニビのタケシに聞いていたのよ、あなた、強いんだって?」
彼が疑問に思ったであろうことの答えをあげてからあたしはボールを構えた。レッドの口端が、微かに上がった。
「あたしのポリシーはね、水タイプポケモンで攻めて攻めて攻めまくることよ!」
2つのボールが宙に浮く。

「あーあ、負けた負けた!あんたホントに強いのねー。しかもピカチュウだなんて…やだやだ!」
確かにレッドはタケシが見込んだだけあって、指示の出し方もタイミングも、視点もいいところをつくばかりで、まあいっそ清々しい勝負だった。
「ほら、これがブルーバッジ!持って行きなさいよ!」
「あり…がとう、ございました」
私が差し出したブルーバッジを受け取って、顔を上げたレッド。初めてきいた声と相まってその瞳の持つ、水よりもより透き通った赤に見とれた。
「あんた、ちゃんと喋れたんじゃない」
こくりと頷いたレッドに、「これもオマケ、」と言ってわざマシンを渡す。手を伸ばしたレッドからひょいとかわすと怪訝そうな表情が見えた。
「チャンピオンになったらもう一回来なさいよね!ハナダの岬まで一緒に行ってアゲル!」
約束よ、と念を押すと、もう一度こくりと頷いたが、「返事!」と言ってやると「うん、」と返ってきたのでよしとして(敬語は何処へやったかと聞かなかったのは私がオトナだからよ!)彼の手にお預けしていたわざマシンを握らせた。

遠くない未来へ約束

「ありがとう」そう言って笑ったレッドはとても綺麗だった


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ハナダジム戦
カスミちゃん好きだ!


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