今日もいつもと変わらない日になる、ハズだった。朝目覚めて、ジムに行って、ポケモン達の様子を見て、書類に目を通して……。そんな1日の中のなんでもないはずだった昼下がり。そこへ1人の挑戦者がやってきた。所定の位置について挑戦者がやってくるのを待っていると、赤が見えた。小柄な少年だった。おおかた、隣のマサラから旅立ったというトレーナーになったばかりの少年だ。この間、そのうちの1人が俺を倒してバッジを持っていったばかりだ。
「よく来たな!俺はジムリーダーのタケシだ!」
ぺこりと頭を下げてバトルサークルに入る少年。先日来た彼と違って少しおとなしいようだ。俺は必死に頭の中でどうすれば彼のトレーナーとしての才能を引き出してやれるかということに思考をめぐらせる。
「いけっ!イシツブテ!」
「フシギダネ、」
フィールドにフシギダネとイシツブテが向かい合い、簡単なルール説明をしたあと(マサラ出身の子は確かここが最初のジムだからだ)審判のコールがかかった。
(え、)
俺は焦った。彼がどんなトレーナーかを一匹目で見極めるつもりが、そんな隙もなく俺のイシツブテのHPは0になった。

「イワーク!」
二匹目のイワークも同じだった。考え事もなくして真剣にバトル一本に集中していたはずなのに、ジムリーダーが、いくら制限付きとはいえ反撃の隙も与えられずに負けたのだ。驚きと悔しさとが入り混じって頭が混乱する。
グレーバッジとワザマシンを渡して「おめでとう」と言うその間にも頭の中では何かがぐるぐる回っていた。
「……あ、りがとうございます」
けれどそれは今日初めてハッキリと自分に向けられた彼の瞳と言葉に弾け飛んだ。
「っ…!レッド!…がんばれよ!」
少し嬉しそうに(来た時との比較だ。あまり顕著ではない)フシギダネを抱え、バッジを握りしめてジムを後にしようとする彼の背中に、俺は半ば投げつけるようにエールを送った。

一番目のジム


(ああ、あの小さな挑戦者の未来が楽しみだ!)


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バトルはアニメっぽい感じでお願いします;


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