膝裏から感じる相手の体温が、
火傷しそうなくらい熱かった。




「U房…っ、ちょっと、ま…っ!」

「すみません伊八。少しだけ我慢して下さい」



相手の肩に乗せた右足が震える。

攣るんじゃないかと焦ると同時。
硬い質量が入り込んできて息を潰した。



「…ッ、ゆーぼ、ふ、ぅ、」



潰れた喉を開こうと息を吸えば、
自分のとは思えない声が糸を引く。

まるで女の様な声に恥ずかしさを感じて
左の手の甲で口を塞げば。

すぐに大きな手がそれを邪魔する。



「や、ぁっ、なん、でっ」

「折角の可愛い声なのに、勿体無いじゃないですか」



シーツに縫い付けられた左手が熱い。
肩からずれない様に支えられた右足が熱い。

それ以上に見詰められた顔が熱いのに。
背ける事でしか逃げられなくて涙が零れる。



「伊八、可愛いです」



ちゅ、とわざと音を立てて、
笑いながら乗せた膝にキスを落とす。

爪先が揺れる。
這う舌がぞわぞわする。



「男が、可愛いなんて言われても、うれしくねー‥っ」

「でも今感じたでしょう?」



ココ、締まりましたよ、なんて。

それはお前が変な事するからじゃないかと。
寄せた顔に曇った瞳で睨み付ける。


汗ばんだ前髪が綺麗。
荒い息がエロい。

いつもより低い声が、
どうしようもなく腰にクる。



「このまま中に出しましょうか。それとも外の方がいいですか?」



仰け反った喉元に噛み付きながら、
その跡を尖らせた舌先が丁寧になぞる。

聞かなくったって分かってる癖に。

こういうSなところも。
たぶん俺は、嫌いじゃない。



「っは…、お前の、好きに、すればっ」

「素直じゃないですね」



眉を顰めて意地悪く笑う顔に。
心音が異様に跳ねる。


反発的な事を言うのは、
もっと酷くして欲しいから。

反抗的な目をするのは、
もっと溺れさせて欲しいから。


掴まれたところも
触れられたところも
見詰められたところも
繋がれたところも。

火傷しそうなくらい熱いのに。
それだけじゃ物足りない。



「伊八っ、出し、ますよ、」

「う、んっ、…く、や、ぁ、ぁ、ぁ…っ!」



内側に広がる熱に目を閉じる。


絡み合う熱い呼吸。
肺に刺さるその後の口付け。


冷え切った体内に感じるそれは。
何よりの安堵だった。





†end

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