キャベツ畑で愛を叫ぶ
まだまだ寒い季節が続く2月。
冷たい風が吹く中、菊が居るであろう畑に行けば。
びっしりと緑で埋まった大地の中で、菊がせっせと作業をしていた。
「よー菊、遊びに来たぜ!」
「ギルベルトさん」
お早いお着きでしたね、と顔を上げた菊が微笑む。
頬についた土が、とても可愛らしく見えた。
「これはコールか?」
「はい。日本ではキャベツと呼びます」
きっと今まで収穫の作業をしていたのだろう。
菊の横にあるダンボールの中には、沢山のコールもといキャベツが詰まっている。
「これは冬キャベツと言って、通常のものより球が締まった平たい形をしているんです」
作付け・出荷ともに最多なんですよ。
そう言ってダンボールから一つキャベツを持ち上げ、手にしていたナイフで端をサクリと切り取る。
じわりと滴る水滴に指先を濡らしながら、菊が中から綺麗な部分を捲って俺に差し出す。
どうぞ、と言うように微笑まれて。
俺は少しドキドキしながらそれを受け取る。
口に含めば、軽快な音とともに甘い味が広がった。
「旨い‥」
シャクリシャクリと音を立てながら砕けるキャベツは、自分の家のと比べてとても柔らかで。
あまりの違いに目を丸くしながら呟いた。
「気に入って頂けて良かったです」
無心に咀嚼をする俺を嬉しそうに眺めながら、菊もシャクリと音を鳴らした。
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