日葵




冷蔵庫から
冷えた麦茶を取り出し。

それをコップへと注ぐ。


季節は夏。


庭の木では
生まれたての蝉たちが
拙い恋歌を奏でている。



「暑いですね…」



額に浮かんだ汗を
手で拭いながら。

影を落とす縁側に
腰を下ろす。


蝉の声を聞きながら
視線を前に向ければ。

そこには立派な茎を
伸ばした向日葵たちが。


太陽の光をいっぱいに浴びて。
嬉しそうに花弁を広げている。



「今年も綺麗に咲きましたよ」



微笑みながら。

膝にすり寄ってきた猫に
話し掛ける。


暑いからだろうか。

膝には乗らず、
床にゴロンと転がった。



「彼方も今年は暑いそうですね…」



真っ白い毛並みをした猫に
ふと思い出すのは。

誰よりも暖かみを求めている
極寒の地の子。


いつか大地一杯に
向日葵を咲かすのが夢だと
楽しそうに語ってくれた。


彼は今、
どうしているのだろうか。




「…電話でも、してみましょうか」




風と共に向日葵が揺れて。

猫が欠伸をしながら
ニャアと鳴いた。





†end

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