それは悪魔のような囁きで

悪魔のように笑みを作る





「俺はお前を抱くような趣味はねぇ」

「じゃあ抱かれる方ならいいの?」



机に置かれた手を払い退ければ。
その手が頬に絡みつく。

骨格をなぞるように撫でられ。
思わず肩が揺れる。



──パン…!



「だからあいつは関係ねぇって言ってるだろうが!」


「‥嘘」



叩き払われた手をフラフラさせて、ジローが机の上に腰掛ける。


ボタンの外れたシャツから見える、きめ細かな白い肌。

その下に続く細い足が、跡部の太腿を刺激する。



「…何がしてぇんだよ。お前は」



爪先の動きは止めさせず、ジローの瞳を睨み付ける。

それを知ってどうする。
脅迫でもするのか?



「そんな事しないよ」



だから言ったでしょ。


その視線を楽しげに受け止めつつ、再び触れられる細い指。


その指と爪先に意識を取られていたら。

ふいに、桜色の唇が触れた。







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