prologue
東京都私立氷帝学園中等部。
各クラスがHRを終え、下校の準備を始めた頃。広い校門の前で、砂塵を踏みしめて仁王立ちをする人物が一人。
風にツインテールを靡かせながら、口元には不適な笑みを湛えている。
「なぁ、ホントに俺たちだけで行くのかよ」
仁王立ちした後ろから声をかけられて、少しだけ視線を横にやる。
いかにも面倒臭そうな声音にクスリと笑って、再び視線を前へと戻す。
「──行くわよ」
凛と声を響かせて。
他校の制服に身を包んだその少女は、躊躇うことなく校内へと足を踏み入れた。
LongDream