広い部屋の中央。
深々としたソファに腰掛けて。
部屋の家主、折原臨也は小さく息を吐く。
「君もよくやるよね、こんな事」
投げかけたその先。
床に膝を付いて臨也の下腹部に顔を埋めるなまえは、先程から執拗に舌を動かしている。
「あんたが呼んだんでしょ」
「断る選択肢もあった筈だよ」
「選択肢はあっても理由がない」
口を離せば唾液が糸を引き。
先走りで濡れる唇が、妖しげな雰囲気を醸し出す。
「あんたも私も暇で、丁度性欲を持て余してた。それだけの事」
だからもう喋るな、と。
なまえが先端を緩く噛む。
引きつる呼吸。
普段見せない表情に優越感を感じながら、そのままくわえ込んで吸い上げる。
──イかせたい。
囁かな欲望に、使える物は全て使って奉仕していると。
頭に暖かい感触を感じる。
不思議に思って視線を上げれば。
私に伸びる、臨也の右腕。
その手の平が。
私の頭に触れていた。
「随分上手くなったよねぇ。誰に教えてもらったのかな」
髪をくしゃくしゃと撫でていた指が、耳の裏を引っ掻く。
そのまま形をなぞられて。
ぞわりと肩を揺らした。
「誰にも、教えてもらってない‥っ」
弱いところをイジられて。
思わず語尾が跳ねる。
いつの間にか逆転されていた立ち位置に焦りを覚えていると。
「嘘。そんな悪い子には、お仕置きが定番だよね?」
満面の笑みを作り出す臨也に。
嫌な予感しかしなかった。
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