「‥‥‥」

「‥‥‥」




気まずい沈黙。

臨也の瞳に映った私の顔は、何とも言えない顔をして固まっていた。




「…なに、してんの?」




先に沈黙を破ったのは臨也の方だった。


寝起きとは思えないほどハッキリとした口調で言われ、本当にさっきまで寝てたのか、実は狸寝入りしてたんじゃないのかと疑いたくなる。

そんな彼は、同じく寝起きとは思えないしっかりとした眼差しで、固まっている私を見つめた。




「や、その、…見て、ました」

「何を?」

「臨也さんの、ね、寝顔を…」




別に悪いことをしていたわけでもないのに、この罪悪感は何なんだろう。

まるでイタズラで靴を隠したら、主人に見付かって怒られてしまった犬の気分。

耳を下げて、なるべく申し訳なさそうな態度を見せる。




「‥‥‥そう」




短くぽつりと言われ、下で泳がせていた視線を上げれば。

そこには少し上体を起こして、こちらに手を伸ばそうとする臨也。



──た、叩かれる!?



尻尾を丸めるようにギュッと目を瞑ったら、頭を持たれ、そのまま枕へと軽く抑えつけられてしまった。




「‥っ!?‥‥!!?」




わけが分からずそのまま目を白黒させていると、頭を覆うように抱きしめられる。

驚いて体を硬直させていると。





「見ないで」





耳元で、低く囁く声。

ついでに髪にキスを落とされて、私は一人、臨也の腕の中で顔を真っ赤にした。




気が付けば、頭上で聞こえてくる規律正しい吐息。

肌から直接伝わる体温に、また寝顔を見ようという気持ちにはなれなくて。


耳に伝わる鼓動より、遥かに早い自分の鼓動に。

早死にするんじゃないかと心配になった。






†end

DRRR ShortDream

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