プロローグ
東京都心 池袋。
ここは人々の往来と共に。
様々な噂が闊歩する街。
生きる都市伝説、首なしライダー。
謎に包まれている、切り裂き魔。
実体を持たないカラーギャング、ダラーズ。
未だにその鱗片をちらつかせている、黄巾族…。
噂の数は人口の多さに比例して。
不思議とネタに尽きることはない。
そしてそれだけの人を飲み込む街は、当然と言っても良いのだろうか。
時々、人成らざる異形のモノさえも飲み込んでしまう事がある。
『街はお人好しだ』
そう本に記していたのは誰だっただろうか。
とにかく、そんな妄想と現実の狭間の様な街に暮らしている私だが。
残念ながら私はそこら辺に居るような、ごく一般的な市民に過ぎない。
例えば馬の嘶きのするバイクに跨り大きな鎌を振り回す事もなければ、自動販売機をドッヂボールの如く空へ飛ばすこともない。
そもそも自動販売機というものは地面に設置しておくものであって、それを投げるという非常識な考えは持ち合わせていない。
そんな何処にでも居るような常識的な私だが。
仕事に関しては。
少々非常識なのかもしれない。
DRRR LongDream