Paraphilia


 目が覚めた時、私は見知らぬ白いベッドに寝かされていた。10畳程度の小さい部屋には窓がなく、ベッドと小さい箪笥のようなものしか見当たらない。ぼんやりとついた橙色のほのかな天上の明かりを頼りに出口を探す。ドアを見付けて手をかけたけれど、なんとなく頭のどこかで予想していたとおり、開かない。
 ふと視線を下に落として私はひっと声を上げた。私は服を身に着けていない。寒々しさを感じない室温の調節されたこの部屋に、私は裸で監禁されている。…誰に?なんのために?必死で眠る前、何があったのかを思いだそうと思考を辿る。すぐに、記憶は見つかった。

 「…ネジ、…いや、まさか、嘘でしょ?」

 嘘だと思いたかったけれど考えてみればそうとしか答えが出てこない。
 私は幼馴染に監禁されたのだ。従順な女に飽きた、という下衆な理由で。あの、ネジから。…そのネジからというのが一番信じられない死信じたくない話だけど、記憶をたどるとそうなる。

 (どうして?ちょっと前まではそんな人じゃなかったはずなのに…なんで?どうして変わってしまったの?)

 答えなんて出てくるわけがない。なんで、を知る前にわたしはネジから離れてしまったのだから。疎遠になってもうだいぶ年も経つ。幼馴染なんて所詮そんなもの、よくあることだ。むしろ私たちはたまに会えば声をかけあう分だけ、まだいい方だったんじゃないだろうか?…こうして、心配する程度には、無関心にはなっていなかったんだから。
 それがいけなかったんだろうか。その、無関心にならずに中途半端に心配してしまったことが。だから私は今こんな目に遭っているわけで。


 「目が覚めたか」

 がちゃっと扉が開き、私は反射的に手で前を隠した。すでに裸に剥かれた時点でじろじろと見られているということは気づいていたけれど、だからといってそのまま某立ちしているなんてことは出来ない。精いっぱいの抵抗で睨みつけると、彼は鼻で私を笑った。

 「気分はどうだ」
 「…最悪よ」

 今後の展開は何となく読めている。だからこそ回避したい。だから私は混乱してしまって思考に支障をきたしている頭を一生懸命回転させる。とにかく自分を守りたい。今は祖の感情しかなかった。

 「…こんなこと、絶対日向が黙っているわけがない。ヒアシ様にばれたら、貴方終わりよ、ネジ」 「どうだかな」
 「…私だってマンセルを組んでる仲間がいる。その仲間がこの前貴方がひどいことをした友達に私のことを話せば、きっと最終的に貴方のところにたどり着く。私をここに閉じ込めておくなんて無理よ。いくら貴方が上忍でも、こんなモラルに反したこと、里が許すわけがない」

 ネジはずっと目を伏せて笑みをたたえていた。まるで言葉が響かない。私の言っていることは理に適っているはず、ネジだってわかっているはずなのになぜ。
 不意にネジがこちらに近づいてきて、私は後ろにたじろく。近づかせてはいけない。話を聞いてほしい。私は早口で言葉をまくしたてた。

 「…っ、こんなこと、ネジのためにもならないわ!誰も幸せになんてなれない、ネジがずっと一人で傷つき続けるだけよ!なにができるかわからないけれど、力になるから、だからこんなことしないで元のネジに――」
 「無駄だ」

 一気に間合いを詰められ、唇で唇を塞がれた。蹴り飛ばしてやろうとさっきまで考えていたのに、急な行為に力が抜ける。人とキスをすることは初めてだった。
 

 「もう、戻れないんだよ」

 唇を離した先にいたネジはひどく切なげに笑った。遠い昔、私が知っているネジの表情。笑っているのに泣いているように見えたその表情に私は呆然としてしまう。だけど、それも一瞬だ。両手をつかまれ、そのままベッドに勢いよく倒される。そこでやっと私は「いや!!」と悲鳴を上げることが出来た。

 「いやっ!助けて!だれか!!」

 のしかかるネジから逃れようと身を捻じる。蹴ろうと思っていた足はネジの足が絡まっていて動かせない。首にざらりとした生暖かい感触が這いずって鳥肌が立つ。いつのまにか両手が頭上でひとまとめにネジの肩手一本で拘束されていたようで、右胸の天頂をネジのごつごつとした手が這いずりだした。
 
 「ひっ…」

 がくがくと体が震える。嫌だ。こんなの、絶対におかしい。たすけて、助けて、こわい、こわいよありえない。
 ざらざらとした舌が耳をくすぐる。ぴちゅ、ちゅ、くちゅという普段絶対に聞くことのない水音やネジの低い吐息がはあ、はあとダイレクトに耳に響いてくる。右胸がくすぐったい。天頂にあるその突起をくりくりと摘み捏ねくられだしたとき、じゅんと、身体の真ん中が痺れた。

 「っ…」

 いけない。ぎゅっと上唇を噛みしめて息を押し殺す。馬鹿な、こんな状態で感じるなんて。絶対に悟られてはいけない。
 
 「どうした、唇なんて噛みしめて。我慢せずに声くらいあげたらどうだ。感じているんだろう?」
 「…べつに、感じてなんていない」
 「…フ、そうか。しかし」
 「ひぅっ…」

 不意に身体の中心にある其処に手をやられ、びくりと身体が跳ね上がった。ぴちゅ、という濡れた音に羞恥で体が熱くなる。「ここはずいぶん素直だな」とくすくす耳元で笑われて死にたくなった。自分の身体に裏切られた。その事実を認めたくない。
 ぐちゅり、となにかが沈み込むような音とともに体に妙な異物感が生まれて私は悲鳴を上げた。ゆ、指が、入って、いる。異物感が身体の中を嘗め回すように這いずっている。やめて、やめて、抜いてと叫びながら足を動かそうとする。だけどやっぱりうまく抵抗できない。不意に、身体の一番感じるところの近くを撫であげられて、力がずるりと抜けた。

 「んっ…」
 「…ここか」
 「ひっやめ、あ、ああっ」
 
 ぐりぐりとその一点を指で擦られてたまらず声が漏れる。口を手で押さえようと手を動かしたけれど動かない。そういえばまだ押さえつけられたままだった。じゃあまた唇を噛んで、と考えたけれど、もう余裕がない。だめ、これ、抑えられるわけがない。

 「あ、指増え…やっばらばらに動かさないで、やだ…!」
 「なんだ、やはり感じているんじゃないか。上の口は強がりだな」
 「やっ、だめぇ、あっ…イ…ッ・・・あああっ!!」

 ぐりぐりと肉芽を押しつぶされながら中を擦りあげられた瞬間、ばちっと目の前に火花が散る。きゅうっと中が快感とともに収縮していく。触れられてもいない乳首がじんっと重たく痺れた。
 ああ、私イッちゃったんだと理解した。他人から与えられた快楽に抗えず、流れのままに震えてしまった。

 こんなことを、しにきたはずじゃなかったのに。

 くぷりと痺れが取れないままの私の中にネジがまた指を一本入れて「上出来だな」と呟いた。その瞬間だったと思う。固くて熱い棒がぬるりと一番熱く熟した其処を撫でてきて悲鳴を上げた。私は、すでに自分の腕が拘束から解かれていたことにそこでやっと気が付いて、手で押しのけようと、身体を動かそうとみじろいた、けれど手遅れだった。


 「っ、痛っ…痛いッやめて、抜いてェー!!」
 「っ…きついな」

 みちみちと狭い私の中を巨大な棒が無理やり道をこじ開けて挿入っていく。その裂ける痛みにどう耐えたらいいのかわからず、私はそばにあるネジの腕にしがみついて爪を立てた。さっきの痺れは遠のき、今はただ身体を引き裂かれるような激痛で頭がおかしくなりそうだった。
 私だって忍者の端くれだから、けがだってするし戦えば攻撃だってされる。だけどこの内部から壊していくような痛みは、違う。浸食していくような鈍い痛みが、お腹の中に直接包丁を刺していくようなそんな感覚がして、怖い。

 「や、やめて、お願い、怖いよ…動かさないで…」
 「っ…はあ、菜々…!」
 「やめて、やめてよぉ…っ!」

 怖い。怖い怖い怖い。どうして、どうしてこんなことになってしまったの。なんで私がこんな目に合わなくちゃいけないの。どうして、はじめては好きな人にって決めていたのに。将来結婚する相手にささげたいってずっと願っていたのに。友達だって、信じていたのにどうしてこんなひどいことをするの。

 「菜々…っ」
 「やめて、中は…中に出すのはっ…あぁっ…ぅぁあっ…」


 わけもわからずにはじめてを奪われ、わけもわからずにどくどくと精液を流し込まれる。ずるりとそれが抜かれた時、内臓もいっそこのまま抜けて死んでしまえばいいのにとぼんやりとした頭の裏でそう、自分の死を私は願っていた。


 To Be Continued





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裏を書くのは難しい。そしてちょっと甘いものが書きたくなった。
こんな感じでヒロインを調教していく小説でございますのです。


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