パトリックのことを考えていたら、毎日が無意味な迄に過ぎていく。辛うじて仕事には行っていたけれども、家に帰ったら廃人のような生活を何日も続けていた。
ふと、久しく日の光を浴びてないわね、と思って、散歩がてら外に出ることにした。

のに、

「パト、リック…?」

その、隣の女性は、誰なの?

「あれ?フレアじゃねーか。何でこんなところに…」
それは私の科白よ、パトリック。どうして貴方が、こんなところで女性と一緒にいるのよ。私の所に全然来ないと思ったら、彼女のところに居たのね。
「パトリック、この方は?」
凛とした声がパトリックを呼んだ。胸の奥から沸き上がる嫉妬に似たどす黒い塊。私は今、悲しい。
「俺の友人っすよ、大佐」
その科白が、胸に刺さった。“友人”と言う単語が。パトリック、私は貴方の恋人じゃなくなったのね。貴方は隣の“大佐”を選んだのね。
にっこり、と微笑む。きっと感情なんて微塵も含まれてない。
「フレア・ディーチュです。初めまして」
極力表に出ないように告げた科白。大丈夫かな。ちゃんと出来たかしら。「ああ、そうだ。フレアも一緒に…」と、ついでにみたいに言ったパトリックの科白にとうとうカチンと来て「わたしっ!」と、思ったよりも強い声が出た。
不意に訪れる沈黙。
もう、何をしても無駄だと二人を見て悟った。

「…用事があるので、失礼します。」

このお腹の赤ちゃんとこのまま消えてしまおうか、なんて思った。




2013.02.27

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