タナトス16話にて、何故ガエリオがそれを知っていたのか



テーブルの上にちょこんと忘れられている携帯端末を見て、「これは…」と考える。
「マクギリス、これ、あいつのだよな?」
「ああ、そう言えば孤児院の皆に連絡する時に使っていたな…。忘れたのか?」
「だろうな」
端末を手に取る。
何だろう。急にこれの中身が見たくなってきた。
「なあ、マクギリス。これの中身を勝手に見たらあいつは怒るだろうか?」
「どうだろうな」
幼い頃の荒れてたあいつはまだしも、再会したあいつは妙に優しいというか、大人っぽくなったと言うか…、だから、携帯端末を勝手に覗いても怒られないような気がしたんだ。
好奇心と理性の狭間で揺れ動く。
常識的に考えてダメだ。恋人同士ですら憚られる行為なのに、恋人でないただの幼馴染み(不本意だが今のところは)が携帯端末を勝手に覗いてチェックするなんて。
(でも、)
「ああ、まずい。好奇心の方が勝った」
携帯端末を覗く。
「何だ?パスワードがかけられてる」
マクギリスも横から覗く。
「何だと思う?」
「無難に誕生日でも入れてみたらどうだ?」
「……。……違うな」
“パスワードが違います”
“再入力してください”
無機質な文字がそう告げる。
「じゃあ何だ…?おい、マクギリス、あいつのスリーサイズ分かるか」
「百歩譲ってスリーサイズを知ってたとしても、絶対パスワードじゃないだろう」
「だよな…」
適当に555555と打って遊ぶ俺。
まあ、分かっていたけどパスワードは間違っている。
「ガエリオ、数字じゃなくてアルファベットの可能性もあるぞ」
「あいつの好きなもの…あ、林檎はどうだ?」
「あるかも知れないな」
apple…と入力。しかし、これも不正解。
「…困ったな。全然分からん」と、呟いた刹那だった。いきなり画面が真っ黒になる。
「な、なんだ?!」
電源が切れたのかと思ったが、次の瞬間、上からダーーーーッと乱数のようなものが次々に出てくる。何をやっても止まらないし軽くホラーだ。怖い。
「マッ!マクギリス!!ど、どうすればいいッ?!」
「待て!私にも分からない!」
大の大人二人があたふたしていると、文字はピタリと止まった。
そして、赤い文字で「転送完了」「デリートしました」と表示される。
な、何があった…?
思わずマクギリスと見合う。
これは、もう、あれだ…。
潔く二人で怒られるパターンだ。

「やってしまったな、ガエリオ…」

「そうだな、マクギリス…」

真っ黒になって動かなくなった携帯端末を見詰めた。

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