※モロ語注意
※七松がサイテー


イカ臭い部屋で、荒い吐息と、聞くに堪えない喘ぎ声がぐちゃぐちゃに混ざってぎしぎし揺れるベットのか弱いスプリングに飲み込まれる。
今月こなかったらどうしよう。終わったあとに毎回本気で考えて不安になる原因は私にあって、そしてこの男にあるのだ。


「滝ちゃん、気持ちい?」


私に覆いかぶさって、にっと余裕のある笑みを浮かべる先輩に分かるようにこくんと頷く。声を出さないのは口を開けたら自分には堪えられないほど高い声がでるからだ。そんなかわいい声出してこの男に媚びてる自分がいやになる。だから口を結ぶ。でも実際の、本当のところは、この男に媚びているのだ。こうやってコンドームをつけないのは他の女の人にはできないことを見せ付けるためで、私の先輩に対する想いだとか、勇気だとか、その他もろもろの抱える気持ちを分かって欲しいから(もっとクサイことを言うのであれば、愛してほしいから)。


「もっと奥、突いてい?」


先輩には、全然伝わってないけれど、よ。
それなのに、先輩のかすかな視線が欲しくて、くれるはずもない言葉を聞きたくて、そんな馬鹿みたいな言葉に頷いてしまうのだ。もう泣きたいくらいだ。今の私って美しくない。ただただ欲望にまみれた汚い女だ。それを愛してほしいという言葉にコーティングして、さも愛されたがりのただのいたいけな少女なのだと偽ってる。(も、やだ、な。)
ぎゅうっと目を瞑って、私が果てたあとに頬にやさしくキスをしてくれることを願いながらもうしばらくこの行為に耐える。
七松先輩の隣にいる女の人はいつもきれいな人ばかりで、毎回その事実に私の心はぼろぼろになる。私だけじゃなかったのですねって言ってやりたいぐらい。でもそんなメンドクサイ女嫌だろうなあって毎回考えて黙ってる。先輩のためにきれいになっても、それは全部から回り。先輩から女の人のあまい匂いがするたびに、私の努力はむなしく消えていく。
でも、それでも、それでもね、私、やっぱり七松先輩のこと、が 、


一番イイところを強く突かれて私の目の前はチカチカと白く輝いた。最後に耳についたはしたない喘ぎ声は誰だったのか。暗くした部屋では自分ですら誰なのか時々分からなくなる(暗くしちゃったら誰だか分からないじゃない)。
下が熱い。ぼんやりした頭で考える。いや今あんまり考えたくない。でも真っ白な視界の中で考えてしまう。私を求めて私を愛して。
いつでも私は私でありたいのに、先輩の行動が、私の思考回路を馬鹿にする。もうこんなことをしちゃいけないだとか、孕んじゃったらどうしようとか。そんなことを考えるのに。
先輩が隣にずっといてくれる保証がないから、他の女の人にはできないことをして、なんとか気を引きたいの。(今の私なら、前に先輩が電話してた子よりもすき?)でも駄目だ。こんな関係。馬鹿馬鹿。先輩の馬鹿、すき。
ゆっくりと瞼を開ければ、先輩がカチャカチャとベルトをズボンに通していた。ああ、やっぱりあなたは私が果てたあとに頬にやさしくキスなんてしてくれないのですね。現実が急に私に覆い被さって、これは決して愛のある行為じゃないのだと、私の安い脳を犯すの。涙、が 、出そう。
私の視線に気づいた先輩がにっと行為中のときみたいに笑う。


「私は滝ちゃんが一番すきだな。だって生でさせてくれるもの」



song コンドームをつけないこの勇気を愛してよ/さめざめ
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