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冨岡義勇に助けられた同期くんの話。

あの日あの瞬間、泣いて蹲るばかりだった冨岡義勇が救った唯一の命。偶然出会って事情を聞いて、助けに行こうと走り出そうとする男主を「いかないで」と引き留めた冨岡義勇は、本当はその言葉を言いたい人は別にいたけど、だからこそ切実な響きを持って男主を引き留めた。
男主はそのことに気づいて、きっとこの先に彼の大切な人がいるのだろうと察して、自分まで行ってしまったら本当に絶望するのではないかと足を止め、代わりに戦えそうにない少年を守るために側にいた。
最終選別終了後、一人の犠牲者が出たと教えられ、それが自分を引き留めた少年の大切な人で、この山に放たれていた鬼のほとんどを狩った少年だと気づいた男主は、もしもあの時助けに向かっていたら自分も死んでいたかもしれないと思い、亡くなった少年と共に自分を引き留めた少年にも感謝の念を抱く。

男主は救われたこの命を冨岡義勇のために使いたいと思っていて、だけど冨岡義勇からしたら救ったなんて自覚もなく、そもそもあの日あの瞬間のことを明確に覚えているかも分からなかったので、もしも共闘することがあって、あの時と同じ状況になったとしたら、今度は自分が駆け出そうと勝手に思っている。
でも冨岡義勇はあの日のことをしっかり覚えていて、男主のことも不甲斐ない自分の側に最後まで一緒にいてくれて、襲いかかってくる鬼からも守ってくれた人だと認識しているから、微妙に重い感情を向けられていることに男主は気づいていない。