「今年の鬼に差し出すのはあの子かい?」
「あぁ、あの綺麗な子」
「旨そうな肉だ」
「駄目だよ鬼の肉だ」


とおりゃんせ




俺は今、山に向かっている。
それは毎年の鬼が村に来ないようにする為の儀式みたいなものだと、老いぼれた男が言っていた。
他の子供はそれを知らない。
そうして山の奥に連れられ捨てられ鬼に頭からがぶりだろう。

それでも俺は恐怖心を持たない、持てない。
持つ理由が無いからだ。

「怖いかい、坊や」
「怖くないよ」

村の若い男に連れられて、くらい暗い山道を上り歩く。
目的地にはかなりの距離があるようで、男が持っていた灯り代わりの提灯のろうそくが溶け切り灯りは無くなった。

「代わりのろうそく・・・あるのお兄さん?」
「あ、・・・あぁ、あるにはあるんだがね、持ってきた筈の火打ち石が無いんだ・・・」
「・・・そう、それは困ったねぇ。早くしないと鬼に食べられてしまうよ」

どこになにがいるかもわからない程の暗闇。
左手の中にあるものを渡せば灯りは灯るだろうけど、灯りはいらない。
男は居心地が悪そうに顔を歪め、俺と繋いでいた手を離さす。

「君は、不思議な子だね・・・」
「お兄さん・・・怖いかい?」
「怖いね、灯りがないと人は不安になるものさ」
「怖くならないように、昔の話をしてあげるよ!」

俺は無邪気を装い、離されたその手で男の手首を力強く握る。
爪を立て、血が滲むように、肌に食い込ませていくと男は痛みと驚きで顔を歪めた。
そりゃあ、驚くだろうよ、こんなことは子供の力じゃああり得ない。
俺は子供の成をしているが。

「一体・・・!なんなんだ、お前の方が、化け物じゃないか・・・!離せよ・・・!」

やっとでた男の本性はそこら辺の下らない奴らと一緒のようで、些か詰まらない。一気に興味を削がれたが、「化け物」の言葉に興味ではそれこそないが、別の感情が手の力を強めた。

「化け物・・・?それは、鬼と比べているのかい?はっ!!あっはは!そりゃあ笑い物だ!いいか、鬼は崇高は生き物なんだよ!!化け物などと、下等な奴と一緒にするな!!」
「ひ、な・・・なん・・・」
「あぁそうだ、昔の話をしてあげると言ったねぇ」
「いらない・・・!」

俺はにぃ、と口元に弧を描き、声を高らかに張り上げて話を始める。
怯えた顔はそれは美しいく旨そうだ。
だが、まだまだ、まだ我慢。

「ぜーんぶ、うそっぱちさ」
「うそ・・・?」
「お前は、鬼の生け贄として俺を連れてきた。だろ?」
「大事な事を教えてやろう」
「お前以外は皆鬼だ」
「俺は子供じゃない。子供のなりをしていただけだ。」

「お前は、俺に食われるんだよ!」






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飽きた・・・
まぁ美味しく頂かれたんでしょうね。BL要素ねーな!
いや、入れるのは容易そうだけども。鬼は皆面食いです。




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