9 真奈美に勧められてはまりました。


『・・・ない。』


これで三軒目だ。
私は休日を利用して本屋を巡っていた。

そう、今集めている漫画、戦国TAWAKE第12巻の為に。

戦国TAWAKEとは、新競技テニッソにより武将たちが天下統一を果たすという超人気ギャグSF漫画のことである。


ちなみに今は15巻まで持っている。

何故かどの本屋にも12巻だけがないのだ。
どうしてそんなに12巻だけ需要があるんだ・・・。12巻に何が起こったんだ・・・。
もう12巻が気になってしょうがない。



『・・・しょうがない、次「の本屋に行くか・・・とお前は言う」ええええ』


びっくりしたあああ

まさかこんな休日にいつかの糸目と会うとは思わなかった。
・・・というか、関わりたくないんが。


「ふっ、お前が俺と関わりたくないと思った確率、100%だな」


完全に拒否られてんのに気づきつつも何故か嬉しそうな糸目はなんか気持ち悪いから無視だ。


「・・・そして、お前が戦国TAWAKE第12巻を探しまわっている確率も・・・・・・・・・100%だ」


『!!』


ドヤ顔とかいちいち溜めて喋るとこが腹立つとか何でピンポイントで12巻ってわかったんだとかそもそも何で私が戦国TAWAKEにはまってるって知ってんだとか、いろいろと言いたいことはあったが、それよりも私はあいつの持っている物をガン見することに一生懸命だった。


そう、あいつは持っていたのだ。



「これが欲しいか?」



戦国TAWAKE第12巻を


『お前、何故それを・・・』


「相手のことなら全て把握する。
まして切り札になるようなモノなら尚更、な。」


『悪い、ちょっと何を言っているかわからない』


「・・・」



なんか微妙な顔された。



『で、何でわざわざ私にそれを見せるんだ?くれるのか?』


「・・・ああ、お前の返答次第ではこれをやろう。」


『なぜだろう嫌な予感がする』


「来週の日曜日の練習試合で臨時マネージャーをやってくれないだろうか」


『ほらきたー
何で嫌な予感に限って当たるのかな、不思議だ』


「さあどうする?1日を犠牲にするだけでこれが手に入るんだ、安いだろう?」


『セリフが完全に極悪人だぞこいつ!やるわけないだろ、お前らのことだからめんどくさいことになるのは解りきってんだよ!
それくらいなら「別の本屋に行く・・・か?」・・・』


「無駄だ。何故ならこの辺りの全ての本屋から、我が立海の部員が12巻を買い占めたからな。」


『ええええ!!!!
なんつー無駄なことを!!
「無駄だ。」ってお前らが一番無駄だろ!』


「精市の命令には逆らえなかった。」


『いや、うん・・・。ドンマイ』


あいつに逆らうのは無理だな。殺されかねない。

私は少しだけ糸目に同情した。


「・・・それで、やるのか?椎名の返答次第で俺たちの人生は決まるんだ。」



<●><●>カッ



そんな目で見ないでください、恐怖で断りたくても断れない。



そんなこんなで、私の1日はこいつらのせいで犠牲になることがきまったのだった。



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