天仰ぐ少女と北極星
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――夢を見た。
ぼんやりとしていて、だがしかし鮮明に覚えている「それ」は、昔見た光景と酷似している気がした。
一面真っ白な、何も無い広い部屋。特徴は、そう「本当に何も無い事」。
家具や装飾はもちろん、窓や扉もないのだ。
それなのに不思議と閉塞感は全く無く、むしろ落ち着き、何故か懐かしさまで感じる。
何も無いはずのその部屋からはピアノのポロン、という音だけが絶えず聞こえていた。
このピアノの音がまた妙に寂しく、この白く広い世界にたった1人という事実を、痛く突き付けられているような気持ちになる。
一体自分はいつどこでこの部屋を見た事があるのか、全く見当がつかない。この、何も無い部屋を……。
自分の記憶を辿ろうと思考を巡らせるが。
ここで急に頭痛に苛まれ、意識が徐々に遠のいていった――。
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