◎ちびなすくんとゾロ



もし自分にも本当に弟がいたなら、こんな感じだったのだろうか。
ゾロは胡座する自分の脚の上で、きゃっきゃと笑う小さな金髪頭を撫でた。


突然の感覚に驚いたのか、金髪の子ども、サンジはゾロの顔を振り向いて見上げる。
その純真な瞳はキラキラと海の様に温かい青色で。


「ゾロの手ってなんか、クソあったかい」

「…?体温は高い方だ」

「そうじゃなくて、んー。よく分かんないけど、おれ、ゾロの手、あったかくて好きだ」


そう言ってニコッと笑った顔には、やっぱりどこか癒されるものがあって。
ゾロが伸ばされた手を握ると、サンジは至極ご機嫌といった感じで、手を繋いだまま視線を先程まで見ていたテレビに戻した。


暫くテレビに釘付けになっているサンジに、ゾロは手持ち無沙汰から握っていた手を離して、脇の下から横っ腹にかけてをこちょこちょと擽ってみた。


「うぁ、ははは、ゾロ、ひひ、やめろ〜」

「止めねぇ」

意地悪く笑って擽り続ければ、サンジは最初のうちこそ脚の上で身動ぎしていたものの、最終的には床を転がり回って笑いながら抵抗した。

苦労してやっと魔の手から解放された時、サンジの幼いながらも身内に教え込まれたという鋭い蹴りがゾロへと飛んできた。


「なにすんだよー、くらえ!」

「バリアー」


パシッと軽々片手でその蹴りを止めてみせたゾロが、その足をすかさず離してサンジを抱き止め、身動きを取れなくしてしまう。


「そして、捕獲」

「ぎゃあ!ずるいぞこのかいじゅうクソマリモン!」

「抜け出してみな、チビ眉毛」

胸元でぎゃあぎゃあ言いながら必死に抜け出そうともぞもぞするその様子に、ゾロは笑いを止められなかった。
やめろ離せともがくサンジのほっぺたは、ほんのり赤く染まっていた。




それからまた時間は経って、サンジは先程の攻防で疲れてしまったのか、ゾロの膝に頭を乗せて微睡んでいる。

ゾロが頭をまた不器用に撫でてやると、サンジの瞼はその綺麗な青色を隠してしまった。


「ゾロ…」

「あ?」

「おれが、大きくなるまで、まってて…すぐに、迎えに、くる…から…」


そう言い終わるや否や、スーと寝息を立ててサンジは眠ってしまった。


ゾロにはサンジの言葉が、理解できてはいなかった。
けれど、大きくなったらという言葉から、サンジの未来の姿を想像してみた。


「まぁ、眉毛以外はそれなりに整ってんだろうな」

サンジの特徴的な眉毛をくるりと指でなぞって。
何だか可笑しくて、くすっと笑ってしまった。

小さくて、白くて、柔らかく、脆い。そんな子ども。
子どもと言えども、日々すごい速さで成長していて。


色んなこと経験して、たくさん遊んで食って、ちょっとは勉強して、ゆっくりでかくなれ。
そうしたら、迎えにでも何でも、来ればいい。


ゾロは膝の上に眠る小さな未来に期待して、頭に手を置きつつ自身もそのまま眠りについた。


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奈子様にお誕生日祝い&相互お礼として捧げます!

う、上手く…表現できませんでした…。
ちびなす初挑戦でした!
しかし、愛はあります(いつもの言い訳)

奈子様、おめでとうございます。
そして相互していただき、本当にありがとうございます!

※奈子様のみお持ち帰りフリー

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