夢を見た。
良い夢ではなかった。
大事なものを、失う夢。

夢から覚めガバリと起き上がったゾロの身体は汗だくで、息も荒かった。
口の中も乾いていた。
水が欲しくて、何より彼の姿を確認したくて、覚束無い足取りでキッチンへと向かった。


ふらふらとしながらもようやっとキッチンの扉の前までたどり着く。
もたれかかるようにしてその扉を開けると、案の定そこには軽やかに響く包丁の音と共に、愛しい金髪の彼、サンジがいた。

サンジはふわりと微笑み、眠れないのか?とゾロに問うた。
ゾロはふるふると2、3回首を横に振って応える。
水、とたった一言口に出し、椅子に腰掛ける。
息はまだ少しだけ荒い。


「何つぅ顔してんだよ」

悟られぬように息を整えていた最中、サンジはゾロの背中を抱きしめるような形でのしかかってきた。
その手には一杯の水がちゃんと持たれていて、ゾロは黙って受け取りそれを一気に飲み干した。

ゾロはその背中に確かにサンジの体温を感じ、安心したといった表情でほっと息をつく。
普段と違う、子どものような表情を浮かべた彼を見て、サンジは抱きしめる力を少し強めた。


しばし沈黙が続いたが、ゾロがぼそりと呟くことによって、それは破られた。

「夢を、見た」

サンジが夢?と聞き返すと、ゾロはこくっと頷いた。
その夢についてゾロは、とても嫌な夢だった、とだけ説明した。

サンジは、ふーん、と一見淡泊な、けれどそれでいて今の説明だけで全てを把握してしまったというような、そんな相槌をうった。


「お前さ、また余計な心配、してんじゃねぇだろうな」

サンジの言葉に、ゾロは顔をしかめて黙り込む。
ほぅ、珍しく素直に認めたな。
少なからず否定の言葉が返ってくるだろうと思っていたサンジは、図星か、とからかうように言った。

「…灯台が無くなりゃ、」

船は、迷うんだ。

ゾロは自分の首に回る腕を、片手できゅっと力無く、すがるように掴んでそう小さな声で言った。

「本当に欲しいのは、灯台?」

灯台は、一緒に進んではくれないよ?


ははっ、と笑った後にサンジは続けた。
ゾロは瞼を重く、重く閉じてそうだな、と一言だけ言った。
それから間もなくして、サンジの腕の中で、また眠りについた。

その表情は、先程のつらそうなゾロではなくて。
少しでも安心してくれたのだろうか、とサンジは、強くて、そして何よりも脆いその人を、心の底から慈しんで抱きしめた。

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何か訳分かんないの出来ちゃった…
それっぽい雰囲気を
楽しんでいただければ
それでいいです!

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