臨帝:大人の君、子供の俺「当たり前のように二人は」 | ナノ

※年齢操作
※臨也(高校生)
※帝人(20代後半)



「帝人さん遅い」
「ははは、ごめんね、臨也くん」

待ち合わせ場所である駅前で見慣れた制服で佇む子供がこちらの顔を見るなりそう一喝した。
非はこちらにあるので素直に謝って宥めると、むすっとしたままの彼に手をとられて歩きだす。
目的地は僕の家。
これがここ最近で当たり前になった習慣だ。

「ご飯、なに」
「オムライスかな」
「子供舌」

どっちが子供だ、なんて言ったら拗ねる事は明白だから言わない。
というか、10近く離れてるというのに同級生とか兄弟(下手したら僕が弟だ)に見られてしまうような少しばかり童顔で少しばかり小柄な僕の方が傍から見たら子供だろうから口惜しいかなぐうの音も出ない。

そんなところが可愛いんだけどね、と歌うように聞こえた声に体温が上昇するのがわかった。

もう三十路近いおじさんになにを期待するんだこの子は。
頭をかかえたくなるがそんな子供に惹かれちゃっているのも事実。

ぶっきらぼうな態度のわりに優しい言葉だとか、さりげなく繋がれた手だとか、あわせてくれる歩調だとか。
当たり前になってくそれらがうれしかったりしてマフラーに隠れて微笑む。

「臨也くん」
「なんですか」
「夕飯なに食べたい?」

オムライスじゃなくたっていいんだよ、と言えば、きょとりとこちらを見る。
臨也くんのことだから鍋かなあ、それだったら買い出ししなければ。なんて考えていると、にこりというよりにやりと笑った顔と目があう。

「オムライス」

的外れな答えが聞こえて今度はこちらがきょとんとする。

「…子供舌」

さっきの仕返しと言わんばかりに言い返す。
だって子供だもん、なんて意地悪そうに笑う彼は、こういう時に限って子供になる。
しかもいつの間にか機嫌が直っていたようで、いつもみたいに僕をからかって笑った。

すこし悔しかったからお子さまにはお子さまらしく旗を立ててやろう、と企みながら繋いだ手に力をこめた。



end



大人ぶってる臨也くんと、子供みたいな帝人さんの、そんな当たり前の日常。
企画「大人の君、子供の俺」提出



20110122