これは、高校時代から五年間続いていたS子のストーカーの事です。

264: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:36:09 ID:A7l0BILt

はじめまして、報告させていただきます。
これは、高校時代から五年間続いていたS子のストーカーの事です。
ストーカーの対象は、私の友人・Jです。

長文、お許しください。
私の通っていた高校は、三つの科に別れており、私は普通科、
Jを含む多くの友人はスポーツ科、他に流通経済科があります。

S子も同じ学校の流通経済科の生徒でした。
1年生の春、私は一人で帰ろうと正門を出た所で話しかけられました。
「中学校の時から見てたの、新体操の試合、名無しちゃんの事ずっとみてたの!」

彼女は新体操はやってなかったけど、彼女の通ってた
中学校の体育館で試合がよく行われていたので見に来ていた様子。
そこから始まり、私のバイト先まで付いてきたり、メールは数時間に10通以上長文で送られてくるし・・・
口を開けば、「名無しちゃんって王子様なんだね」とか、「S子はお姫様v」とか…(私は女です)
思い込みの強い子だと言う印象の子だと思っていました。

知りあってすぐに、その母親から自宅に電話がありました。
「S子と仲良くしてね、よろしくね」と、1時間以上の電話でした。
「よほど過保護なんだなぁ…」と、その時は思いました。


265: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:37:11 ID:A7l0BILt
「名無しちゃん新体操しないの?」「ねぇねぇ」
私事になりますが、中学校の時新体操をやってました。
しかし、3年生の大会前、事故で足を粉砕骨折してから手を引いていました。
とても好きで、自分で我慢してる事でしたから、何度も言われている内に、終いにはブチ切れました。

そしたら、二週間登校拒否して、私は先生から呼び出される始末。
呼び出されると、彼女の母親と彼女の担任のM先生、私の担任のT先生と学校カウンセラーのM先生。
が、ソファーに座って此方を見ていました。

「名無しさん、ホントにS子さんを苛めたの?」
心配そうに、T先生が私に口を開きます。
私は、T先生のことが、お姉さんみたいで好きだったので困らせたくなかったです。
私、「いえ…そんな事実はありません」
「うちのS子が、名無しちゃんたちに苛められたって言ってるの!
あの子かわいそうじゃないの!あの子はか弱い子なのよ!!」
ヒステリー気味に、S子の母親が叫びます。

私、「余りにも、異常すぎませんか?幾ら『トモダチ』だといっても、アルバイト先についてきたり
   『王子様』とか…そういうのは私、嫌なので、やめて下さい。苛めても居ません、迷惑だったので注意しただけです」

その言葉に、先生達も「名無しはいじめをするような生徒ではない」と、S子の母親を説得し始めました。
が、聞く耳持たず…。

S子は、奨学金を借りて高校に通っていて、ちゃんと出席しなければならないので、担
任のM先生が自宅に説得に行きました。
彼女はまもなく学校に戻ってきました。


266: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:38:17 ID:A7l0BILt
そして、2年生の夏休み…
高校生にとっては、バイトの季節です。
私の友人達も、周りの生徒も皆民宿や海の家、デパート、ショッピングセンターなどでバイトを始めました。
田舎の町なので、そうたくさん仕事があるわけでもないのです。

さて遅くなりましたが問題のJは、大型ショッピングセンターで荷物運びや仕分けのバイトをする事になりました。
そこで会ってしまったのが、S子です。
かなり有名な子だったのに、Jは知らなかったようで、仲良くなってしまったみたいです。
「あの子には気をつけろ」
友人達も、注意していました。
「うん、解ってる」
うわさを聞いたJも頷き、二学期が始まりました。

と、変なうわさが広まりました。
「S子とJが付き合っている」
本人「はぁ?」
身に覚えが無いそうです。
それを確かめに、私等は走りました。

まずはS子のクラスの女子の友達に聞くと…
「あぁ、S子が自分で言ってるよ〜?」
「へ?」
「『Jと付き合ってるの、お父さんにも紹介されちゃった〜v』ってさ」
「はぁ?!」
「でも、あたし等は全然信じてないけれどね。J君のお父さんは出稼ぎで居ないでしょ。
 遠洋漁業で、半年ぐらい帰ってきてないでしょ」
誰も信じてないようでした。安心です。


267: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:38:57 ID:A7l0BILt
「まぁ、ヒトの噂も49日とか言うしさ、気にスンナ」
落ち込んでいるJに、私等はそういいました。
しかし、次の噂が舞い込みました。
『ついにヤッちまった』
聴いた瞬間の私等は、一瞬フリーズしました。
「やっちまったって、あれかぁ?」
友人の一人のHと顔を見合わせ、早速Jに確認。
「やっとらんわぁぁぁ!!」
ブチ切れ。

聞くと、彼のケータイには真夜中や、授業中にS子からのメールや電話が来て、
着信拒否にしても家に(どうやって調べたんだか)
電話が来て、彼の家族が「居ません」「真夜中ですから」と言っても、S子母とS子が騒ぐそうです。
ついでにJとJの兄さん姉さん、Jのママンはその所為で寝不足だそうです。

ブチ切れついでに彼は、S子の居る流通経済科の棟に殴りこみに行きました。
一瞬、私達は「生きて帰って来いよー」と、見送ってしまいました。
が、間を置いてヤバい事に気づき、すぐに追いかけました。

「S子ぉぉぉ!!」
勢い良く開けられた流通経済科のある教室。
私達がそこに駆けつけると、JがS子を怒鳴りつけていました。
「なんでそんな事言うかぁ!」
「だってうちとJは付き合ってるじゃん」
「まだその口が言うか!!えぇ?!」
余程怒っているらしく、いつもはいいヒトなJに加減がありません。
大人しい人が切れると凄いと言う事が、実感できました。

「誰と誰がつきあっとるかぁ?!」
その階中に響くような声で騒ぎ、先生や野次馬な生徒が集まってきています。
「だって、『アンタ良い人』とか、S子に優しくしてくれたじゃん!!」
「俺はもうH高の女と付きあっとるわぁっ!!」
Jは実の所、市内にある他校の女の子と付き合ってました。
かなり可愛い子で、女の私から見ても攫いたい(犯罪)と思うほどの可愛さでした。
「お前なんかと誰が付き合うかぁ!!」
怒鳴ると、Jは教室を出て行きました。


268: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:40:35 ID:A7l0BILt
次の日、登校すると、「S子自殺未遂」と言う情報が。
J、友人四名+私とS子の所属するチアリーディング部の部長さんと保健委員長は呼び出され、
何故かS子の家に謝罪しに行くことになりました。早速、八人土下座させられました。
S子が自殺未遂を起こした理由は、矢のように飛んでくるS子の両親の言葉をまとめると、四つみたいです。

・Jに犯された上にフラれた(最初から付き合ってませんし、ついでにS子はドムです)
・私が姫と言ってくれない。+私の友人達が「姫」と敬ってくれない。(なんじゃそりゃ)
・チアリーディング部の部長さんと保健委員長さんに苛められた。(厳しいのは当たり前)
・皆がいじめる。(私たちが守らない所為だと)

Jは、一日に一回、S子に電話すること、メールはちゃんと返信すること。
ついでに、何故か私達は彼女のことを姫と呼び、一緒に行動することが義務付けられてしまいました。
そうじゃないと出る所に出ると言い出したので、先生たちはそっちの条件を私たちに飲ませることにしたのです。
(普通にお金払って学校来てるんじゃないんだからそこまでしなくても良いんじゃないかと思ってるんですが。
寧ろ、そこまで異常な行動に出ているのだから、退学処分にしてくれた方が皆平和に暮せたのではと、今でも思います)

ただでさえ文化祭が近く、委員会の準備があって結構忙しかったのに…。
チアリーディング部のT部長さんは、私と同じ委員会で活動していました。
とても優しい先輩でした。ある時、委員会の準備で遅くなり二人で一緒に帰る途中、T先輩は言いました。


269: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:41:13 ID:A7l0BILt
「あの子ね、どう見てもチアリーディング部じゃないでしょ?」
「そうですね、チアリーディング部は可愛い人多いですもんね、スタイルよくて」
「部室前で泣き喚かれた日にゃ、迷惑でしょ。だからしょうがなく所属させたの。
 それよりあの子、一銭もお金出してないの…バトンとかユニフォームとかジャージとか…
 全部、先生と部員たちでお金出してたの…それを辞めるなんて、みんなにお金返してからにして欲しい」

いつもは、愚痴や人の悪口を言わないT先輩の口から、ボロッと出た言葉でした。
「ついでに、自殺未遂っていっても、本当に死ねるような方法じゃ無かったって話だから」
どんな方法だったのかと聞いてみると、
「共同購入の荷物に入ってきたドライアイスをね、水の入ったバケツに入れて、部屋の窓とドアを閉めただけ」

死ねるか?
確かにドライアイスって二酸化炭素をだすらしいですが・・・この方法で死ねるのか、誰か教えてください。
「それを、親が見つけて大騒ぎして救急車まで呼んだんだってさ」
余りのアレさに眩暈がしました。


270: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:42:16 ID:A7l0BILt
文化祭も無事終わり、修学旅行の季節になりました。
修学旅行…寺の多い府と県でした。
私は、友人達と見物と土産物を買う為に町でウロウロしてました。
義務付けられてしまったとおり、S子も一緒に…。珍道中でした…。

見たい所も見れなかったし、S子に内緒で取ったはずのプリクラに、何故かS子も写ってたり。(金払えよ)
ついでに、Jが彼女とメールをしていると、彼のケータイを取り、彼女のメールを全部削除したり。
これまたついでに、ホテルの私の部屋(クラスの友人二名と一緒)に来て、旅行中ずっと居座ったり。
私が彼氏とメールとか電話してても、その内容を隣で聞いてたり見てたり…

まぁ、さんざんでした。先生公認なので、もう好き放題です。
修学旅行の費用を返してくれって感じです。
奈良で鹿センベイ買って、鹿に上げようとしたら、食べられたし…
(これは、関係ないでしょうか?でも、金返せコラ!)

で、帰りのバスを降り、皆で近くのファミレスで一息ついていた所、お土産の見せあいっこになりました。
幸いS子は両親がバスの止まるトコまで迎えに来てたので、久々のS子抜きです。
頼んだ物も届いて、それを食べながら見せあいっこは続きました。
皆、勢いで買った物が多かったですね。
番傘やら、十手、キーホルダーやら奈良漬やら、鹿の置物やら、ショウジヤの油取紙やら…。

と、Jの番になり、皆が彼に「何買った?」と聞きました。
しかし、なにやらJは慌てた表情で言います。
「R(彼女)に買ったブレスレットが無いっ!」
「落としたんじゃねぇの?」
「別の袋に入ってるとか」
彼は、「この袋に入れたんだ」とその土産用の紙袋の中身を全部出し、縦に振ったり横に振ったりしてました。
S子が下痢で席を外している間、一時間も土産物屋で悩んで買った物です。慌てますよね、普通…。


271: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:42:50 ID:A7l0BILt
次の週の月曜日、犯人発覚。
学校に登校し、休み時間、私たちの溜まり場にS子が来た時です。
「名無しちゃぁんv、これJに買ってもらったの〜」
「ハァッ?!」
その腕には、Jが彼女に買ったはずのブレスレット。
彼が一時間も悩んでる時に、私も買うのを手伝ったので間違いない。

「Jったら、全くもう、恥ずかしがり屋なんだからっ!」
顔を赤らめて話すS子。
「ちょっと待て!それは・・・」
「お前、それ窃盗って言う立派な犯罪だぞ」
「ちゃんと消毒して返せよ、Jに」
皆、かなり慌てました。

幸いというかなんと言うか、当のJはその日、モノモライで休んでました。
「でしょ、似合うでしょ?」
「お前、だから返せってJに!」
「Jってば『似合うよ』って言ってね、キスしてくれたの!」
「っていうか話し聞けよ!」
「今度はおそろいで服買おうねって約束したの!」
話が全く噛み合いません。
誰か、この人精神病院か頭を見る病院まで連れてってください…って感じでした。

結局、Jはこの件で更にS子を嫌うようになったのは言うまでも無く、
事態は高校卒業まで悪化の一途を辿っていました。


272: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:44:12 ID:A7l0BILt
高校卒業と同時に、Jはケータイを新しく変えました。
新しい生活、社員寮。一人暮らし。そして、S子からの開放。
卒業して、皆で記念宴会やった時の、Jの晴れやかな顔といったら、
今手元にある高校時代のアルバムで、ある意味一番輝いてます。

「離れても皆友達だ」と皆でまぁ、青春ドラマのような約束をして、
何人かは同じ地方の大都市に就職。ある者は、進学。
そして、私と何人かは、東京へ。Jはというと、出身県の隣の県にある、地方では一流ともいえる会社に就職。
さてさて、お引越し。

たまたま、私とJは引越しする日が一緒でした。
私の引越しは、数日前に先に出てきていた友人が手伝ってくれたりしてました。
夕方、粗方荷物も片付いたので一息ついて、四人で一応引越しソバを食べていると、Jから電話が入りました。

以下、会話。
『そっちどう?俺のトコ結構良いよ。冷蔵庫もエアコンも付いてるし』
「うちのトコも広いよー、都心に近いのに四万円代だしロフト付いてる。お風呂もエアコンも勿論ついてるよ」
『訳在り物件じゃねぇの?こっち家具一式付いてんだよ、夏休みには皆で遊びに来いよ。社員寮だけど』
「今日から暮らすのに、怖い事言うなよ…東京にも遊びに来てね。HとかTとか居るけど代わろうか?」
…ガサッ
「なんか物音しない?電波悪いのかな」
『んー…ベッドの下からしたかもな…』
「見てみたら?」
『うん…』
少しの間


273: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:45:05 ID:A7l0BILt
『なんでおめぇがここに居るんだよ!!』
なにやらJの怒り声。
「どうしたん?!」
「強盗か?!」
こちらでも、Jの声が電話を通して響いていて、私達は大騒ぎ。

『S子がベッドの下にいたぁっ!!』
なんてこった。
都市伝説を地で行く女、S子。
録音したテープに入っていた会話。
Jが電話を切り忘れたので、ちょうど何かの証拠になるかと思い、MDの録音マイクをあてて置きました。
以下、MDから起こして見ました。
激しく地方弁なので、標準語バージョンでお送りいたします。

S子『酷いじゃない!一緒に行くって約束…』
J『けーさつじゃ!警察呼ぶぞ!!』
激しい物音がしていました。
心配になった会社の人たちも集まってきたようです。
社員寮でよかったと思います。本当に。

ガタンッ!
会社の人A『どうしたんだ!K崎君!』(K崎:Jの苗字)
会社の人B『なんなんだ君は!』
S子『Jの彼女です!』
会社の人A『そうなのか?』
J『違いますー!!」
S子『一緒に暮らすって約束したんですー!!』


274: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:45:47 ID:A7l0BILt
会社の人C『とにかく警察を呼ぼう!話はそれからだ!』
S子『何で知らんふりするの!J!』
J『知らんもんは知らん!帰れや!』
S子『うわぁぁん!手首切ってやるぅぅぅ!!』
J『とにかく警察!警察連絡してくださぁい!!』

会社の人D『あと5分ぐらいでくるそうだ!事務室に連れてくぞ!』
S子『うわあぁぁん!Jが裏切ったぁぁぁ!!』
会社の人A『こりゃいかん…持ち上げて運ぼう!』
会社の人B『誰か担架持ってこーい!あとトラロープ!』
S子『うわぁぁぁん!!☆△〇$д!!(意味不明)』
J『泣きたいのはこっちのほうだ!会社の人に迷惑掛けんな!!』
会社の人B『気にしなくて良いよK崎君!』
会社の人E『担架とトラロープ持ってきました!!』

しばらく物音

会社の人達+J『いっせーのーで!』
会社の人『うわ!暴れるなっ!!』
会社の人『しょうがない!縛って連れてくしかないか!』
S『いぎぁぁぁ!きゃー!!☆△〇$д!!ハイドー!!』
最後のハイドってのが意味解りません。
彼女はラルクのファンだったのでしょうか。
謎を残しながら電話は切れました。


275: 本当にあった怖い名無し:04/10/01 17:47:11 ID:A7l0BILt
結局そのあと裁判沙汰になり、このMDが重要証拠となって、
彼女はJの200m以内に近づいてはいけない決まりになりました。
どうやってS子がJの寮に侵入したか…

それは彼が近くのコンビニに昼食を買いに行っていた時、フロントで管理人に
「K崎 Jの身内のものですが…」と鍵を貰っていたらしい。渡すなよ、管理人。
そしてJはと言うと、来年の春、お父さんになります。Rちゃんと結婚しました。
スキャンで見たら双子だそうです。

良かったね、幸せな人生取り戻せて。
あと、私が住んでいるこのマンション、やっぱり訳ありでした。色々出ます。

それでは長々とありがとうございました
293: 264:04/10/03 02:03:52 ID:hH9Jqki+

レス、有難うございます。
やはりドライアイスでは簡単には死ねませんよね…っていうか、死ぬ確率低いですよね…
有難うございます。教えていただいて、長年の疑問が解けました。

大変遅れて申し訳ございません。
書いた後、アップしようとしている際、友達が遊びに誘いに来たので、遊びに行ってしまってました…
今、アップします。

余り、面白くないかもしれません。


294: 264:04/10/03 02:05:06 ID:hH9Jqki+
それでは、S子に関する思い出(?)の一つを。
私と、その兄弟、主に長兄と弟に絡んだ思い出。


アレは、二年生に入って、 しばらくしたある日。
夏休みを目前に、私は委員会の仕事で遅くまで残っていたのです。
台風の予報が出ていたので、その日は傘を持っていきました。
しかし、帰りには誰かが持って行ってしまったらしく、ありません。
ついでに、職員室に鍵を返しに行って戻ってくると、皆帰っちゃってました。

仕方なく私は、次兄に電話をかけると、
「俺はまだ残業で帰れそうにない。一兄貴(長兄)が近くを通ってるはずだから、電話しとくから待ってなさい」
と言われたので、昇降口で待っていました。

しばらく、文庫本片手に待っていました。
かなりの雨の酷さで、車の音も、余り聞こえません。
が、兄の来た事はすぐ解りました。
…デコトラなので…
「遅くなってすまん〜!」
昇降口前に止まって、運転席から顔を出す長兄。

「仕事中だったんだ」
「道路が混んでてな。ついでに二郎(次兄・仮名)に買い物頼まれたけど、アボガドってなんだ?」
「あれだよ、あのわさび醤油つけて食べるあれ」
「あー、あれかー」
そんな会話をしながら、私は助手席によじ登りました。

と、後ろから何かが乗ってくる音がします。
「酷いよ〜、名無しちゃん、置いてくなんてっ!」
S子でした。
なぜ、先ほどは姿を現さなかったS子がここに?
と云う疑問はさておき、誰が送るって言ったよ。誰が。
「…あ、こないだの」


295: 264:04/10/03 02:06:06 ID:hH9Jqki+
幾ら物忘れが酷い長兄でも、覚えていてくれたようです。
その一ヶ月ほど前に、265で書きました通りの事が起きまして、
S子は両親に連れられ、我が家まで来たりもして、
兄達と弟と、全面戦争になったので、覚えていて当然かもしれないです。

「名無しちゃんの友達です〜vv」
長兄に愛想を振りまくS子。
「送ってって〜〜」
いきなりそれか。
「言いにくいけど、これから弟も迎えに行かなきゃならないし、
あんたんち、○○町だろ?うちとは正反対の方向だから無理だよ」
冷たいようですが、S子の事を嫌ってるし、部活終わった弟も待ってるだろうし…

「終電終わっちゃってるのに〜」
田舎の列車の終電は早いのです。
「何してたの、こんな時間まで。部活の人達はもうとっくに帰ってるでしょ」
「だって、名無しちゃん待ってたんだもんv」
「…私、一緒に帰るって約束してないけど」
「S子と帰ってくれるって言ってたよ〜」
何処で待っていたのか、彼女はずぶ濡れのまんま、兄のトラックに乗り込んだ上に、ドアを閉めます。

「送っていくって言ってないんだが?」
珍しく、兄は怒っていました。
13tトラックの助手席から落としたら、骨折する可能性もあるし、そこまで鬼になるわけにもいかないから、
しょうがなく、乗せていきました。

兄が怒っているし、私も嫌だし。二人で無言の中、S子はベラベラと好き勝手なことを喋ってます。
「お兄さんって彼女いるの〜?」
「ねー初体験って?」
そんなこと、普通、聞かんだろ
他人の兄に。つか、自分の兄にさえ恐ろしゅうて聞けんわ。


296: 264:04/10/03 02:06:46 ID:hH9Jqki+
彼女の家の近くになりました。
狭い道路が入り組んでいるので、そこから先は入ることが出来ません。
兄「ここで降りろ」
S「何でそんなに冷たい子と云うの〜、S子、名無しちゃんちに泊まる約束〜」
兄「してねぇだろ、ついでに、勝手に乗ってきたのはそっちだろ。礼儀をわきまえろ」

S「したよねぇ〜vv」
私「してないし、弟迎えに行くし、スーパーで買い物してかなきゃなんないし。
  いつまでもアンタの妄想に付き合ってらんないんだよ」
S「泊まるの〜!!」
兄「我侭が通ると思うなよっ!!しかも、お前、この間うちに親と一緒に乗り込んで来た上に
  名無しにまでイジメのぬれ衣着せたじゃねぇか!!あんまり人を馬鹿にすんのもいい加減にせぇや!!」

私は、兄がそこまで怒ってるのを、生まれて初めて見ました。

S「ぶぅうぇぇぇぇぇん」
兄「泣いてすむと思ったら大間違いだ。降りろ」
S「泊まるって、約束、したんだもん…」
兄「それはお前の妄想だろうが!!」

こんな調子で、長兄とS子の会話は続きます。
私なんぞ、入る隙間も無かったです。


297: 264:04/10/03 02:07:35 ID:hH9Jqki+
と、天の助けか、ケータイに弟からメールが来ました。
『まだ?めちゃくちゃ寒いんだけど…
 雨とか風とかすげぇし、早く迎えにきてくんねぇ?腹減ったよぉ』
あぁ、そうだよ。
お前を迎えに行くのが先決なんだよ。
姉ちゃんもお前が風邪引かないか心配だよ。でももう少し待っておくれ…
そう頷きながらメールを読んでました。

「四郎(弟・仮名)からメール来たよ。『まだ?』って」
私がそう告げると、
「S子、名無しちゃんの弟くん見たいなぁ〜vv」
おい、さっきまで泣き喚いてなかったか?おんどりゃ…
「お前は帰れや!!日本語理解できとんのか!!頭かち割って脳みそに直接言い聞かすぞ!!」

そんな会話がまた続きます。 
っていうか、兄ちゃん怖い…
Jと長兄、どっか似てます。


298: 264:04/10/03 02:13:09 ID:hH9Jqki+
と、今度は助手席のドアをノックする音が聞こえます。
またまた天の助けが?!
とか思いきや、S子の両親だった。
「こんな時間まで、うちの娘を引きずりまわしてどうするつもりだ!!」
どうも駄目親父なこのS子の父。

脱線しますが…S子の家族は、両親が仮病使って生活保護で暮してます。でも、健康です。
都合が悪くなると、役所に行って暴れるので、役所の人達も、怖くて手を出せないらしいです。
でも、毎年のように家族旅行に行ってます。
あと、電話工事をS子の家の目の前でやったとき、黒い箱みたいなのを取り付けたらしいのですが、
「監視カメラをつけただろ!!」と、役所や電話会社に乗り込んでったそうです。
杖までついて。<S子と同じ中学校出身者の証言
「まさか!いかがわしいことをするつもりじゃないでしょうね!!」

私と兄、そろって「はぁ?」

つか、目の前に見えてる車はいったいなんなんだ?
そんな贅沢品っつーか車は持っちゃいけないはずだろう?
あんた足が動かないってことんなってんでしょ?

まぁ、それは良いとして…
私の顔も、長兄の顔も覚えているはずなんですがね?
アレだけ大騒ぎして、我が家に乗り込んできたのですから。
いやいや、何と云うか、「送ってきてもらった」って言う発想はこの人達には出来ないのですか?


299: 264:04/10/03 02:25:33 ID:hH9Jqki+
ごちゃごちゃと口論になっているトコに、お巡りさん登場。
この台風のなか、ご苦労様です…と、ホントに敬礼したくなるぐらい。
どうやら、近所の人が通報してくれた様子。
あんだけ大きな声で、騒いでりゃそりゃぁご近所迷惑さ。

「で、どうしてこうなってるんですか?」
若いお巡りさんが、言います。
兄が至って冷静に、最初から説明します。
それを頷いて聞いている二人のお巡りさん。
「つまり、T山さん(S子の苗字:仮名)のお嬢さんが、
無理矢理乗り込んできたわけですね。まぁ、それはそれは…」
人の良さそうな中年のお巡りさんが慣れたように私たちを労ってくれました。

2ちゃんを知ってしまった今、あの人の顔はモナーに似ているなーとか思う今日この頃。
「さぁ、T山さんも送ってもらったんだからお礼ぐらい言いなさいよ。この台風の中送ってきてもらったんだから。
 お礼をするってことを忘れていきなり怒鳴ったりするなんて、人を怒る資格が無いよ」



300: 264:04/10/03 02:34:55 ID:hH9Jqki+
その言葉に、S子の両親はS子をトラックから降ろすと、文句を言いながら立ち去りました。
お礼も謝罪も無かったものの、事が済んで良かったです。
これで弟を迎えに行く事も出来るってもんです。
「ありがとうございます」
兄が礼を言うと、
「T山さんねぇ、ご近所でも評判の困った人たちだからね、気をつけてね」

やっぱりそうだったのか!私と兄は納得。

「何かあったらすぐに警察に言ってくださいね。全力でなんとかしますから」
そう言って、おまわりさん二人は、パトカーに乗って帰っていきました。
なんていいお巡りさんたちだったんだろうね、と、
やっと普段の状態に戻った兄と二人で、弟を迎えに行きました。

私の一つしたの弟は、市内の別の高校に通っていたのです。
しかし、弟の姿はありませんでした。
「何処行ったんだー!四郎!!」
心配になってきた私は、学校の昇降口を慌てて探してました。

と、兄が電話で誰かと話してます。
「誰から?仕事?」
私が聞くと、
「んー、三郎(末兄・仮名)から。大学の帰りに通りかかったら居たんで拾ってったって。
ついでに、四郎、熱出してダウン」 
サラリと言うな!!サラリと!!
ごめんよ、弟よ、お前風邪気味だったよな…忘れてた。 
ごめんよ、兄弟よ、私が変な奴に好かれてしまったばっかりに…

今回の、一番の被害。
…私の弟、発熱…むしろ、それを拗らせて肺炎になりかけた。


301: 264:04/10/03 02:36:23 ID:hH9Jqki+
遅くなって御免なさい。
そして、愚痴みたいなのとかいっぱい混じってて御免なさい。



 



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