逃げようとする腰を掴んで引き寄せると、ギャアと品のない悲鳴があがった。涙やら涎やらでぐちゃぐちゃになった顔には、いつもの高慢さは面影もなく、言峰は満足そうに喉を鳴らす。
「我に対してこの仕打ち……!絶対に許さんぞ、言峰!」
「ふん。それはこちらの科白だな。何度言ったらわかる」
ぐち、と更に腰を密着させれば、ギルガメッシュの手は必死にシーツを求めてさまよった。それを許す言峰ではなく、その細腕を掴んで捻りあげる。夏の夜は蒸し暑くて、頭の中をどろどろに溶かした。
「いい加減、私が不在のときに教会に来客があったのならば、居留守をしないでもらおうか」
「嫌だ…っ!なぜこの我が直々に出なければならんのだ…ぁっ!」
「住んでいるのなら、それくらい、しろ!」
一際激しく腰を打ち付けると、ギルガメッシュは大きく痙攣したあと吐精した。きゅう、と絞まった締め付けに言峰も達しそうになるが、腹に力を込めて快楽をやり過ごす。今回は性欲を吐き出すための行為ではないのだ。
ギルガメッシュは、教会の来客に一切対応しようとしなかった。言峰とて暇ではない。有事の際には教会を空けなければいけないことも多々あるが、そのとき来客がないわけではない。現に言峰不在のとき、何人もの要人が彼に会うため足を運んでいた。それにも関わらず、常に教会にいるギルガメッシュは居留守を決め込んだ。ゲームをしていただの、寝ていただの、言い訳をしてはそっぽを向いた。
「ただ、用件を聞いて、私に伝えるだけだろうが…っ!」
ギリッと腰を掴む指に力を入れると、ギルガメッシュは鋭い爪で言峰をひっかく。
「っそれを!王たる我がわざわざ雑種にしてやる意味がわからんと言うのだ!」
このやりとりも何回目だろうか。言峰は大きくため息を吐くと、くったりと力が抜けていたギルガメッシュを抱き起こした。そのまま膝に乗せると、ずぶっと深くまで剛直が突き刺さる。小さく喘いだギルガメッシュの顔を言峰は掴んだ。小さな頭は言峰の手に簡単に収まる。
(できればやりたくなかったのだが)
以前この行為に及んだとき、ギルガメッシュはそれはもう嫌がった。泣いて喚いて暴れて、最終的には宝具を展開するところまで進んだのだ。それでも今回はお仕置きのためだ。そう心の中で呟いて、言峰はギルガメッシュの耳に唇を寄せた。
「ひゃああああ!!!?」
ぞくっと腰からなにかが沸き上がる感覚に、ギルガメッシュは堪えきれずに声をあげた。
「な、な、なにをするのだっ!!」
「なにって、言われないでくれないか。照れるだろう」
「なぜそこで照れる?!やめっ、ひ!」
べろりと耳を舐めて唇で軽く挟むと、ギルガメッシュは面白いほどビクビクと震えた。彼は耳が弱いのだ。王の耳に触れようとする輩がいなかったためか、それはもう耐性がなかった。
言峰はくつくつと笑い、さらに耳をいたぶる。甘噛みして、ときどき歯をたてると、それだけでギルガメッシュは体を震わせた。逃げられないように両手を掴んで、彼の耳を口の中に含んでしまうと、ギルガメッシュはとうとう音をあげた。
「わかっ、わかったから!!ことみね、やめてくれ!!」
「ほう、なにがわかったのだ?」
耳元で囁くように言うと、ギルガメッシュは大きく体を跳ねさせた。腹の上にはだいぶ薄くなってしまった白濁がついている。これにはさすがの言峰も驚いた。
「まさかお前、耳だけでイッたのか…?」
呆然とした呟きは、ギルガメッシュに恥辱を与えるには十分だった。かつての偉大な王は耳まで一気に赤くすると、言峰の頬を全力で叩いた。ばちん。
―――――――
「 耳が弱いギルとそれを知っていて執拗に責める言峰の裏 」でした。リクエストありがとうございました!
title:ごめんねママ