▼Surprise V

俺が尻尾を堂々と出しているのはつい最近のこと。
 
初めはみんな驚いて問い詰めてきたこともあったけど今はもう慣れたもの。
 
でも一人だけ未だに興味津々な奴がいたんだ。
 
いや、別に嫌な奴とかそんなんじゃないけど…
 
だからこそ反応に困るというか…なんというか。
 
 
「奥村君
 今日も尻尾出してはるんですね」
 
「お、おう…」
 
 
子猫丸は目を輝かせながら愛用の猫じゃらしを持って俺に迫ってくる。
 
 
「ぅ…やっぱり我慢できません!
 奥村君!」
 
「ぅえ?」
 
 
ゆらゆらと左右に揺れる猫じゃらし。
 
それに釣られて動く悪魔の尻尾。
 
 
「はぁ〜…可愛え…」
 
 
毎日飽きずにこの光景を繰り返す。
 
子猫丸とは最近こんなことしかしていない気がする。
 
まあ…喜んでるみたいだからいいけど。
 
 
「せや!今日は奥村君にお土産
 があるんです、とっておきの」
 
「とっておきの!?」
 
 
なんだ?食い物か?
 
淡い期待を余所に子猫丸が紙袋から取り出した物は…
 
 
「じゃ〜ん!猫耳です!」
 
 
少し離れた場所では勝呂と志摩が手を合わせて拝んでいる。
 
おい、拝んでないで助けろよ…
 
 
「ほんでお願いなんやけど…
 奥村君、付けてくれへん?」
 
「あ…ああ、いいぜ」
 
「ほんまに?!ありがとう!」
 
 
…そんな顔して言われたら誰だって断れねえだろ…
 
やっぱり勝呂と志摩は神様にでも拝んでてくれ…
 
 
「ん…こうか?」
 
「…わ、すごい…
 ほんまに猫さんみたいや…」
 
 
尻尾と同じ色の猫耳は遠目から見たら本当に猫みたいに見えるかもな。
 
あ、ほら…雪男来ちまったし。
 
 
「皆さんおはようございます…
 って兄さん??!」
 
「よ、よう…おはよ」
 
「兄さんまじ天使んsvふじこj」
 
「ゆ、雪男?!」
 
 
なんか訳の分かんねえ呪文を唱えながら雪男は床に突っ伏した。
 
 
「奥村君…
 最後にそれで『にゃー』って…」
 
「もうええやろ!!」
 
「子猫さん堪忍したって!!」
  
その日は勝呂と志摩が止めてくれたから子猫丸も諦めたけど、またこうなったら今度こそ逃げ場がなさそう…
 
いや、別に嫌とかそんなんじゃないけど……な。
 
 
>It is a surprise, and to you.V
(サプライズです、貴方に。3)
 End


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