鮮やかな景色 | ナノ




財前くんに腕を引っ張られ
つれてこられたのはどこか分からない
大きな木の下。


風邪が気持ちよくて
必死で財前くんの走るスピードに
あわせて走ったため乱れた息を
整える。


「…」


『…』


お互い無言のまま
ただ私の不規則な息が聞こえるだけ


「すんません…」


突然謝る光くんに少しびっくりしながら
ん?と短く返事を返す


「無理に連れてきてしもうたやないですか…」


申し訳なさそうに
下を向く光るくん


『きにしてないよー』


「でも名前が跡部さんらにベタベタ触らせるんが悪いんや…」


…かわいすぎんだろ
ちょっと膨れ面してブツブツ
言う光くん


『んー…ごめんね?』


でも、なぜそこまで?
いくら嫁と言われてもだな…
んー…わからぬ!


「ほんますんませんでした」


頭を下げる光くん


『いいから!頭上げる!』


「はい…」


『とりあえず戻ろう?』


そういって私は光くんに向けて
手を差し出す。


「普通逆やろ」

なんて言って少し笑いながら
私の手を素直につなぐ。


…かわいすぎんだろ←


『よしゃ、行こうっ』


元気よく歩きだす私の後ろから


『名前さん好きっすわ』

と呟かれた小さな声は
私にはまだ届かない。


もへへとぜんざいPには
まだまだ時間がかかる。