#04


「どうしたの?名前」
『うん…』
「京介と喧嘩でもした?」
『うん…』
「そっか…」
優一の所に行くと、優一はもう何もかも知っていたかのように笑う。なんでこんなに大人なんだろう。羨ましい。
「ごめんね…僕だけこんなにも無力だ。ごめんね…」
『優一……』
優一はさっきとは別に苦しそうな顔して私を抱きしめた。
『大丈夫、優一が悪いわけじゃないよ……きっと!きっと神様が優一に暇をくれたんだよ!だから優一は休んでていいんだよ』
「うん……名前は優しいね」
『違うよ…優一が優しいのよ…』
二人で顔を見合った。窓からの光が眩しかったり、気持ちよかったり。ただ短にぽかぽかすると言ってもいい。
「…名前は京介を叱ってあげたの?」
『うん……って何で知ってるの!?』
「フフ、どうしてだろうね」
『ちょっと怖いよ優一』
同年代だから言えること、いままで溜まってた事全て優一に喋ったら、気が楽になった。
『…そうだ、花瓶の水替えてくるね』
「ああ、ありがとう」
にっこりと笑う優一にはいつも安心させられる。ああ、頑張らなきゃ!そんな気持ちにもなるんだよね。






「やあ京介、どうしたの?」
「ああ…ちょっと相談があってさ…」
「何だよ、名前と喧嘩でもしたのか?」
「…なんでもお見通しだなあ兄さんは」
「だって名前と喧嘩してることが多いのって京介の方だからね」
「…ちっちゃい頃から名前とはあんまり気が合わなかったけどさ」
「うん…」
「今日、叩かれて初めて名前との仲直りの仕方がわかんなくなってさ」
「え、名前叩いたの!?」
「ああ…」
まだ痛い…という仕草で頬を撫でる京介。
「名前が叩くなんて、珍しいね」
「ああ、俺もビックリした」
むつかしい顔して優一の前に座る京介。
「まあ、謝ってあげなよ。名前だってきっと落ち込んでる」
「…そうだよね、俺が言いすぎたのが悪いからな…」
「たまには反省の気持ちも必要なんだぞ、京介」
「分かったよ、兄さん」



そんな事が数分前にあっただなんて、私は知らない。

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